[II-P07-1-03] 口腔レンサ球菌による全身性感染症を発症した先天性心疾患3症例
Keywords:感染性心内膜炎, 口腔レンサ球菌, 抜歯
口腔レンサ球菌による全身性感染症を発症した先天性心疾患3症例を経験した。症例1は無脾症候群・完全型房室中隔欠損・両大血管右室起始・肺動脈閉鎖に対し心内修復術施行済み(Rastelli and AVSD repair)の男児。3歳11か月時に意識障害・呼吸障害が急激に出現し救急受診。来院時はショック状態で、蘇生に反応せず永眠。血液培養でStreptococcus mutansが検出され、同菌による敗血症性ショックが死因と考えられた。症例2は心室中隔欠損症により経過観察中の10歳9か月男児。入院2か月前に乳歯の自然抜歯あり。1か月前より弛張熱・倦怠感が持続。当院受診時に心臓超音波で両室に疣贅を確認し感染性心内膜炎と診断。抗菌薬治療後、心室中隔欠損閉鎖術・疣贅除去術を行った。その後再発なし。入院時の血液培養でStreptococcus oralisが検出された。症例3はファロー四徴症・主要体肺側副動脈の7歳5か月男児。4歳2か月時にRastelli手術施行済み。入院1か月前より右下臼歯の疼痛あり、続いて弛張熱出現。近医歯科にて6歳臼歯の萌出に関連する歯肉炎と診断され、レーザー切開などの歯科的処置を施行された。その後は抗菌薬を内服すると解熱するが中止すると発熱する状態が続き当科受診。心臓超音波で右室流出路から導管にかけて疣贅様の構造物を確認、血液培養でStreptococcus oralisが検出され感染性心内膜炎と診断した。抗菌薬治療で感染を落ち着かせてから手術の予定。3症例とも人為的な抜歯の既往はなかったが、全身性感染症を発症するに至った。文献的考察をまじえて報告する。