[II-P07-1-04] 先天性心疾患右室流出路再建術後の感染性心内膜炎再発に関する検討
キーワード:感染性心内膜炎, 再発, 右室流出路再建術後
【背景】先天性心疾患(CHD)術後の患者数の増加とともに、右室流出路再建(RVOTR)後の感染性心内膜炎(IE)が増加傾向である。人工物を用いた右室流出路の感染は、再発を繰り返し、複数回の再手術を必要とするため治療に難渋することがある。今回、当院における右室流出路に対するIE症例を後方視的に検討し、再発に係る因子等を同定することで、再発を予防する治療戦略を模索した。【対象と方法】1992年1月から2022年12月までにCHD患者のうちRVOTR後にIEを発症し再手術を要した12例を対象とした。12例のうちIEが再発した3例を再発群、再発を認めかった9例を非再発群とし、それぞれの短期・長期成績、起因菌、その他のリスク因子等を検討した。【結果】両群いずれも周術期死亡は認めず、遠隔期死亡は非再発群で1例(慢性心不全の増悪のため死亡)のみであった。再発群において初回IE発症から再発までの期間は8年[5年-12年]で、IEの罹患回数は2回[2回-3回]であった。アトピー性皮膚炎を基礎疾患に持つのは、再発群では3例中2例、非再発群では認めなかった。起因菌に関しては、再発群群(再発時)はMSSA2例, 不明1例、非再発群はMSSA 2例, MRSE 2例, candida 1例, E.coli 1例, 不明3例であった。疣贅の付着部位に関しては、再発群(再発時)はVSDパッチ 2例, 不明 1例であり、非再発群はRVOT conduit 3例, 人工弁弁尖(肺動脈弁位) 3例, RVOTのmonocusp 1例, 縦隔 1例, 不明 1例であった。 【まとめ】右室流出路のみならず、再建に用いた人工物が主な感染部位であることが示された。また、アトピー性皮膚炎が再発例には多い傾向があり、IE再発のリスク因子となる可能性が示唆された。