[II-P07-1-08] 小児がん患者の初回治療における心血管障害の検討
キーワード:がん, 化学放射線療法, 心筋障害
【背景】がん治療に関連する心筋障害(cancer therapeutics-related cardiac disorder: CTRCD)は,早期介入による心予後の改善が示されており,早期に心イベントを発見することが重要である.【目的】初回がん治療 中の心イベントの発生について検討する.【方法】2018年1月から2022年12月まで,当院で初回治療を受けた小児がん患者,91名を対象とした.初回治療中の心イベントの有無を電子カルテから後方視的に検討した.【結果】対象患者91 名のうち,心イベントを発症したのは12名であった.年齢の中央値は,対照群で8.0(0.0-21.4)歳,心イベント群で14.0(3.9-16.7)歳だった.アントラサイクリンの投与有無および投与量の中央値は,対照群で47/79名,209.3(72-375) mg/m2,心イベント群で9/12名,162.3(50-360) mg/m2であった.放射線治療は,対照群で27/79名,心イベント群で10/12名に施行された.心イベントの内訳は,左室駆出率低下10名,QT延長1名,心室細動1名,心タンポナーデ1名(重複あり)であった.観察期間中に,左室駆出率は3名で改善した.死亡症例は対照群で7/79名,心イベント群で3/12名だった.心イベント群の死亡症例は,3名とも原疾患の病勢悪化によるものであった.【考察】急性期治療中に認めた心イベントは,左室駆出率低下が最も多かった.心イベントによる死亡症例はいなかった.アントラサイクリンの投与量は,今回の症例では急性期の心イベントとの関連は認めなかった.【結論】小児がん患者の予後改善のために,慎重なフォローが必要である .