[II-P07-1-09] 右室低形成のUnbalanced AVSDに対する手術経験
キーワード:One and a half ventricular repair, Unbalanced AVSD, PA banding
【背景】One and a half ventricular repair(OHVR)は低形成/狭小三尖弁やRV容積の乏しい症例に対し容量負荷を軽減する有用な術式である. 今回borderlineのRV症例に対し将来の二心室根治を期待してOHVRを行い, 経過を報告する.【症例】在胎39週4日, 2914gで出生. 診断はUnbalanced AVSD (Rastelli A), Rt.AVV狭窄(Rt.AVV:45% of N), hypoplastic RV. 生後2m時(5.7kg), mBT shunt施行. 8m時カテーテル検査;Rt.AVV 60% of N, RVEDV 65.8% of N. 10m時(8.0kg)にOHVR (VSD patch closure + BDG + Lt.AVV plasty + primum ASD closure)施行. 右心系の成長を促す目的で奇静脈は開存させ, 心房間交通は狭小化した. 心肺離脱時, SVC 21/14(17)mmHg, IVC (4)mmHgとSVC圧, 脈圧の上昇を認めRt.PA起始部にbanding追加(CV-0+clip). SVC 15/13(14)mmHg, IVC (3)mmHgで手術終了. 術後カテーテル検査(3y5m);SVC (9)mmHg, IVC (8)mmHg, Rt.AVV 61% of N, RVEDV 70.8% of N, さらに右心系の成長を促すため3y11m時にRt.PA bandingに対しPTA施行. Rt.PA 3.5mm→5.5mm, SVC (13)→(16)mmHg, IVC (8)→(8)mmHg, RVEDV 78.6%(PTA前). 現在二心室修復を目指し待機中.【考察】右心系の成長を促す目的で奇静脈を開存させたOHVRを行った. Rt.PA bandingと心房間交通の調整により過度な上半身の圧上昇と容量負荷を避けつつRVの成長を促すことができた. Bandingにおける外周毎のclipは将来PTAを行う際に肺動脈径の調節がしやすく有用である.【結語】BandingによるSVC圧の適正化と小さな心房間・奇静脈の開存させたOHVRにより緩やかに右心系の成長が期待できる. Borderlineの右室症例に対し当院での治療戦略は二心室根治の可能性を広げうる.