[II-P07-2-04] 経皮的心房中隔欠損閉鎖術に関連した房室ブロック症例の検討
キーワード:心房中隔欠損, カテーテル閉鎖, 房室ブロック
【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術(Transcatheter closure of atrial septal defect:TC-ASD)に関連した房室ブロック(AVB)の機序は明確ではない.留置デバイスによる持続的圧迫や摩擦が,房室伝導束の浮腫,炎症,虚血を惹起するとされ,体重<15kg,デバイス/身長比(D/H)>0.18がAVB発症リスク要因とされている.遠隔期に恒久的ペースメーカー植え込み適応となることもあり,適切なデバイス留置計画が必要である.【方法】TC-ASDを施行中/施行後にⅡ度以上のAVBを来した症例を後方視的に検討した.【結果】当院で,Ⅱ度以上の房室ブロックを発症した症例は2/125例(1.6%)であった.症例1は7歳,女児.身長121.7cm,体重22.4kg.ASDサイズは9.9×16.9mm.リムは,bald AO(0-90度の欠損),IVC 18mm,CS 10.6mm,TV 11.4mm.ストップフローによるバルーンsizingは16.4mm.flare shapeを意図しOcclutechデバイス(FSO)21mm(デバイス/身長比(D/H)=0.17)を選択したが,RA disc展開したところでadvanced AVBとなったため,FSO 19.5mm(D/H=0.16)に変更した.留置3年後でも洞調律維持している.症例2は40歳,男性.身長176.5cm,体重89.4kg.ASDサイズは18.7×27.5mm.リムは,valsalva 0-5.9mm,IVC11.6mm,CS 6.3mm,TV 12.8mm.ストップフローによるバルーンsizingは27.6mm,Goreデバイス(GCA)48mm(wasitサイズを38mmとしてD/H=0.22)を留置した.デバイス留置後68時間でⅡ度房室ブロックを発症したが,アスピリン,ステロイド投与にて速やかに軽快した.留置2か月時点で洞調律維持している.【結語】当院ではAmplatzerデバイス使用によるⅡ度以上のAVBは認めなかった.FSO,GCA使用時に,valsalvaリムが乏しい症例ではD/H の大きいデバイスを使用することがあり,体重>15kgであってもAVB出現に留意する必要がある.