[II-P07-2-06] 動脈管結紮術後に待機的にカテーテル治療を施行した大動脈縮窄症の早産超低出生体重児例
キーワード:大動脈縮窄症, 早産超低出生体重児, カテーテル治療
背景:大動脈縮窄症は左室の後負荷不整合および動脈管維持に伴う高肺血流による心不全、腹部臓器低灌流による臓器障害をきたす先天性心疾患である。治療は外科的な大動脈形成術が一般的だが、超低出生体重児に対する外科手術は困難である。また、早産超低出生体重児は未熟性から外科的介入に伴う合併症のリスクが高く、慎重な介入時期の検討が必要である。症例:MD双胎第二子として在胎29週1日、744gで前医にて出生。動脈管閉鎖に伴う循環不全の徴候あり、大動脈縮窄症と診断され、日齢8に当院に転院となった。高度腎機能障害と心機能低下あり、プロスタグランジン製剤増量とカテコラミンサポートを開始したところ、後負荷不整合は改善したが動脈管拡大に伴う高肺血流が進行した。動脈管は来院時より左右短絡であり、動脈管は下肢血流に寄与していないと判断し、日齢9に動脈管結紮術を施行した。プロスタグランジン製剤やカテコラミンなどの薬剤調整や集学的治療を継続し、腎機能は改善を認め、緩徐に体重増加が得られた。しかし、外科手術が可能な体重まで内科的管理を継続することは困難と判断し、日齢37(修正34週3日)、907gにステント留置術を施行した。右内頚動脈カットダウン、狭窄部へは先端可変式マイクロカテーテルを用いてアプローチし、Xience 3.25mm×12mmを留置した。血圧上下肢差は30mmHgから15mmHgに改善し、POD3にプロスタグランジン製剤を終了、POD7に抜管し、カテコラミンを漸減終了することができた。考察:動脈管維持に伴う高肺血流による心不全を認めたが、動脈管結紮術とプロスタグランジン製剤などの内科的管理により腎機能の改善とある程度の成熟を待ってからカテーテル治療を施行することができた。早産超低出生体重児の大動脈縮窄症に対し、動脈管結紮術およびステント留置術は外科手術が安全に施行できる体格に成長するまでの待機治療として有効な選択肢になると考えられた。