[II-P07-2-08] 食道閉鎖を合併する重症大動脈弁狭窄、僧帽弁逆流、卵円孔狭小を有する極低出生体重児に対するカテーテルインターベンション
キーワード:大動脈弁狭窄, カテーテル治療, 低出生体重児
【症例】生後3か月の双生第2子。重症大動脈弁狭窄(AS),大動脈縮窄、高度僧帽弁逆流、左心機能低下の胎児診断あり。胎児期より厳しい生命予後を予測し蘇生行為も制限的とする方針であった。切迫早産のため、緊急帝王切開により在胎34週、出生体重1353gで出生した。新生児仮死はなく、治療継続とした。呼吸窮迫症候群の診断で気管挿管を行い、その際に食道閉鎖症が判明し、日齢0に食道絞扼、胃瘻造設術を行った。大動脈弁はピンホール状に開き、弁形成は困難と判断した。カテコラミン、プロスタグランジンE1等により循環は維持され、動脈管血流は右左優位であった。日齢9に右内頚動脈アプローチによる経皮的大動脈弁形成術(BAV)を行った。弁輪最大横径4.8mm, 前後径3.8mmに対しHiryu 3.25mm、Sterling 3.5mmを用いた。大動脈弁の順行性血流は増加し(最大大動脈弁血流速度2.9→4.9m/秒)、左室収縮能も改善した(駆出率 35→55%)。大動脈弁逆流は僅少であった。その後、卵円孔狭小、長期人工呼吸管理及び慢性肺疾患によるSpO2低下が増悪したが、日齢35にTMP-PED 8mm によるstatic balloon atrial septostomy (BAS)を、日齢51, 119にpullback BAS(1ml)を行い左房圧の適正化を図った。Serratia菌血症が遷延し、手術は回避した。現在、生後3か月で体重1700g台に達し、心臓外科手術を目標に体重増加を待機する。【考察】BAVと手術の短中期効果から、当院ではASに対し外科治療を主に選択するが、本症例は合併疾患から回避した。低出生体重児のASについてまとまった報告に乏しく、本症例において、血行動態に対する長期的な観点に基づいたカテーテル治療の計画が困難であった。治療効果の予測も難しく、デバイス選択にも難渋した。【結語】本症例に対する最適な治療を他施設の経験も参考に検討したい。