第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔

ポスター発表(II-P07-3)
術後遠隔3

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:40 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:野間 美緒(都立小児総合医療センター心臓血管外科)

[II-P07-3-01] Non-confluent PAに対しY字型人工血管でFontan手術を行った症例の遠隔期

白石 修一, 渡邉 マヤ, 杉本 愛, 高橋 利典, 羽山 響, 高橋 昌, 土田 正則 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)

キーワード:フォンタン手術, 遠隔期, Y字型人工血管

【はじめに 】左右肺動脈の交通がなく(Non-confluent PA)大動脈の後方に十分なスペースが無い場合のFontan手術は、大動脈縫縮や大動脈前方通路などの選択肢の他にY字型人工血管を用いる場合もあるが遠隔期の血管形態については知られていない。術後18年の心臓カテーテル検査結果を含め報告する。【症例】男児。生直後にチアノーゼを指摘され、DILV, PS, bil.SVC, PDAと診断された。2ヶ月時にrt. BT shunt手術、11ヶ月時にlt. BT shunt手術を施行し、1歳7ヶ月時にbil. BDG, PA plastyを他院にて施行された。その後の心臓カテーテル検査で左右肺動脈の交通途絶を認めたため当院紹介。左右肺動脈の距離が大きく前方の大動脈が拡大し後方のスペースが確保できないと判断されたため、2歳時に当院でY字型人工血管を用いたFontan手術の方針となった。16mmと14mmのePTFE人工血管から作成したY字型人工血管を用いたTCPC手術を施行した。術後に右胸水貯留のため1ヶ月のドレーン留置を要したが軽快し退院、術後2ヶ月での心臓カテーテル検査ではCVP (10)mmHgであり有意な狭窄を認めず、以後3歳時、8歳時、13歳時にカテーテル検査施行するも大きな問題なく経過観察され、今回術後18年目に心臓カテーテル検査及びCT検査を施行した。RSVC, LSVC, IVC (13)mmHgと圧較差は認めず人工血管の開存は得られており、CTでも明らかな肺静脈圧迫所見も認めなかった。SpO2 95%(room)でチアノーゼもなく日常生活でも特に問題を認めていない。【まとめ】Y字型人工血管でのFontan手術の遠隔期血行動態及び血管形態は良好であり、解剖学的に一般的なFontan route作成が困難な症例では選択肢の一つとして有用であると思われた。