[II-P07-3-02] 異なる臨床経過をたどった孤立性肺動脈の4症例
キーワード:孤立性肺動脈, 人工血管, ステント
【緒言】動脈管もしくは動脈管索から起始する孤立性肺動脈(isolated pulmonary artery of ductal origin: IPADO)は稀な病態であり、他の心内奇形を伴わない症例の発生率は20万分の1とも言われる。一側肺動脈救枝のためには早期診断が重要であるが、片側肺動脈閉鎖または低形成として学童期・成人期に偶発的に発見される症例も認める。今回我々は当院で経験したIPADOの4症例について経過のまとめを報告する。【症例】4症例の診断時期は日齢0, 日齢3, 1歳1ヶ月, 15歳と様々であった。診断時に動脈管開存を認めた症例は1例のみであった。4例中3例で治療介入を行い、15歳で診断となった例については患側(左)肺動脈が瘢痕化しており治療介入が不能と判断した。治療介入を行った3症例のうち1例は初回介入として右肺動脈再建術、残り2例はmodified BTシャント術もしくは動脈管索へのステント留置術を介して二期的に右肺動脈再建術(staged repair)を行った。動脈管索へのステント留置を行った症例では、対側の著明な肺高血圧を認め、早期の次期介入が必要であった。右肺動脈再建術には人工血管を使用し、Primary repairでは6mm、staged repairでは8mm、10mmを用いた。10mmの人工血管を用いた症例では現在術後10年が経過、吻合部狭窄に対して術後約1年半で肺動脈バルーン拡張を行い、以降圧較差なく推移しているが、肺血流シンチでは患側:健側=1:3で左右差を認めており、今後の治療介入を念頭に置いて経過観察中である。【考察】幼児期までに診断に至れば、有効な治療介入が可能であり、staged repairを行った症例の方が、より太い人工血管を用いた右肺動脈再建術が可能であった。【結語】IPADOは早期の発見が重要であると同時に、様々な臨床経過に対して各症例に応じた治療方針の検討が必要である。