[II-P07-5-01] 成人先天性心疾患患者への就労支援に関する社会的現状
キーワード:成人先天性心疾患, 就労支援, 成人移行支援
【背景】成人移行支援の一つに就労支援や社会資源の活用がある。本研究では、成人先天性心疾患患者の就労状況や社会支援制度の認知度を明らかにし、今後、支援・施策を評価する際のベンチマークとすることを目的とした。【方法】2022年1月から11月に循環器専門施設および関連クリニックを受診した18歳以上の成人先天性心疾患患者258名に対して質問紙調査を実施した。質問紙では世帯状況、就労状況、障害者手帳の取得状況、社会支援制度である小児慢性特定疾病児童等自立支援事業と難病相談支援センター、移行期医療支援センターの認知度を尋ねた。分析では重症度分類別に記述統計量を算出した。本研究は所属先の倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】210名(81.4%)から回答を得た。対象者の年齢は中央値36歳(四分位範囲27.0 – 44.0)、重症度分類の内訳は軽症51名(24.3%)、中等症66名(31.4%)、重症68名(32.4%)であった。就労者は156名(74.3%)で、雇用形態は一般雇用(常勤)73名(46.8%)、障害者雇用(常勤)31名(19.9%)、一般雇用(非常勤)12名(7.7%)の順であった。身体・療育・精神いずれかの障害者手帳を所有していたのは117名(55.7%)で、全重症度において手帳所有者は未所有者に比べ就労率が低かった(p<0.05)。社会支援制度を知らないと回答した人数は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業176名(83.8%)、難病相談支援センター166名(79.0%)、移行期医療支援センター189名(90.0%)で、制度の認知度と障害者手帳の有無、重症度分類の間には有意な関連を認めなかった。【結論】重症度にかかわらず障害者手帳の所有者は未所有者と比較し就労率が低かった。社会支援制度の認知度は2割前後であり、認知度向上の必要性が示唆された。