第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

家族支援・在宅支援

ポスター発表(II-P07-5)
家族支援・在宅支援

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:水野 芳子(東京情報大学 看護学部)

[II-P07-5-02] 在宅カテコラミン持続投与を導入した左心低形成症候群のフォンタン術後重症心不全の一例

菅谷 憲太, 池川 健, 細川 大地, 築野 一馬, 若宮 卓也, 小野 晋, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:心不全, 在宅カテコラミン, 多職種

【背景】成人領域では、カテコラミンの持続投与を行いながら在宅療養している心不全の症例が散見されるが、小児領域で同様の報告はない。当院で重症心不全に対してカテコラミンの持続投与を導入し、自宅退院をすることが出来た左心低形成症候群のフォンタン術後症例を経験したので報告する。【症例】4歳男児。胎児エコーで左心低形成症候群を指摘され、出生後、複数回の手術を経て、3歳1か月時にfenestrated TCPCを施行し、術後1か月で退院としたが、術後2か月時に顔色不良、嘔吐があり当院受診となった。心エコー上、右室内腔面積変化率(RVFAC)25%と低下、三尖弁及び新大動脈弁逆流を認め、心不全の診断で入院加療の方針とした。入院後、循環作動薬持続投与による心サポート下で抗心不全療法を含めた内服調整を行い、循環作動薬の離脱を試みたが、嘔吐、活気不良が顕在化し離脱困難であった。弁逆流は経時的に増悪があり外科的な介入も考慮されたが、術後に人工心肺からの離脱が出来ず、救命率は非常に低いことが予想され、家族は外科的な介入を希望しなかった。心移植についても考慮されたが、精神運動発達遅滞(1歳6か月相当)があり適応外と考えられた。カテコラミン依存性の重症心不全の終末期と考えられ、家族は自宅で共に過ごすことを希望された。院内で協議を重ね、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)からのカテコラミン持続投与を導入し、入院10か月目に自宅退院した。【考察】在宅カテコラミン使用下での自宅退院は当院で初の試みであり、薬剤の保険適応外使用、退院後のスケジューリング、家族への指導など様々な課題へ取り組むにあたり多職種間での連携が必要であった。