[II-P07-5-03] 13トリソミー児とその家族の療養スタイルの変遷~患児と家族にとっての最良の過ごし方を求めて~
キーワード:13トリソミー, Quality Of Life, 療養スタイル
【はじめに】近年、医療の進歩や医療者の意識の変化に伴い、長期生存した13トリソミー児の報告が散見される。多彩な合併疾患の治療は容易ではなく、長期的な生命予後には不明な点も多いことから、患児と家族のQuality Of Life(以下、QOLとする)の維持、向上が重要な課題となってきている。そこで、患児とその家族のQOL維持、向上を目指し,児の病状に応じて療養スタイルをくり返し変更した症例を報告する。【症例】4歳女児、13トリソミー(出生後に確定)。早産極低出生体重児で動脈管開存、両側水腎症(胎児診断)、唇顎口蓋裂、造血機能低下、てんかんを合併していた。両親は当初手術を希望しなかったが、人工呼吸管理下に児の状態が安定すると希望に転じた。当院では13トリソミー児の心臓血管手術は行っておらず、生後6か月時に他院で動脈管結紮術が施行された。その後、当院で気管切開術、口唇形成術、右腎瘻造設術、胃瘻造設術が施行された。2歳2か月でNICU/から自宅に退院したが、2か月後に肺出血をきたし小児一般病棟に再入院した。この頃から拡張型心筋症を発症し、くり返す尿路感染、気道感染の度に心不全が悪化していった。在宅人工呼吸器を導入後、県外在住であるため、近医への定期受診のもと自宅に退院した。病状により当院での頻回の定期受診が必要になると、長距離移動に伴う患児の身体的負荷を考慮して、2泊3日の短期検査入院を設定した。さらに心不全が増悪し治療のための長期入院が必要となり、4歳3か月で自宅療養が困難となってからは、家族の宿泊面会を導入し、患児と家族が共に過ごす時間を確保した。【まとめ】患児と家族の「最良の過ごし方」を求めて、病状に応じ家族の希望を尊重しつつ療養スタイルを模索した。家族と信頼関係を築き、家族の意思を確認しながら、患児の状態に応じて療養スタイルを見直すことは、患児/家族のQOL向上をはかるうえで重要である。