[II-P08-1-01] 肺動静脈瘻合併症例のFontan術後経過の検討
キーワード:BDG, TCPC, Pulmonary arteriovenous fistula
【背景】肺動静脈瘻(PAVF)は低酸素血症の原因となるがHepatic factorの欠乏が原因で発症すると考えられ、Fontan型手術(TCPC)により肝静脈血を患側肺へ還流させることで改善するとされる。【方法】当施設で2010年以降にTCPC術前にPAVFを合併した6例のとTCPC術後PAVF推移と血行動態を検討した。【対象】対象は左側相同 3例(うち下大静脈欠損合併は2例)、DORV+PA 1例、左心低形成症候群 2例の計6例。4例に左上大静脈遺残を認めた。BDG施行は4例でTCPS施行は2例であった。TCPC施行時の年齢は中央値2歳4か月(1歳7か月-2歳8か月)であり、体重は9.3kg(8.5kg-10.9kg)、全例に心外導管を用いたTCPCを施行した。BDGまたはTCPSからTCPCまでの期間は1年8か月(1年-2年1か月)であった。TCPC遠隔期のカテーテル検査は4歳11か月(3歳7か月-6歳2か月)時に施行し、TCPCからの期間は2年11か月(11か月-4年7か月)であった。【結果】6例のPAVFの分布はTCPC術前のcontrast echoにおいて右片側/左片側/両側=2/0/4例であり、SpO2は平均76.8%±3.6%、CVPは10.5±2.4mmHgであった。術直後のSpO2は89.7±5.3%であり、術前と比較して有意な上昇を認め(p<0.001)、CVPは14.5±2.1mmHgであった。TCPC術後遠隔期のcontrast echoではPAVFの分布は右片側/左片側/両側=2/1/1例と残存したが、MassiveなPAVFはなく改善を認めていた。SpO2は94.3±3.3%でTCPC直後と比較して上昇傾向であり(p=0.10)、CVPは13±1.5mmHgであった。【結語】PAVFはTCPC術後に改善を認め経時的に上昇を認めた。右肺に残存する傾向があるが、程度も軽減し更なる追加治療を要する症例はなかった。