[II-P08-1-04] 小児における活動期感染性心内膜炎に対する外科治療成績
Keywords:感染性心内膜炎, 手術成績, 再手術
【目的】小児における活動期感染性心内膜炎(IE)に対する外科治療の早期中期成績を検討した。【対象・方法】2007年1月から2022年12月までに当施設で手術を施行した18歳未満の活動期IE10症例につき後方視的に検討した。【結果】手術時年齢,体重は3(2-16)歳,22.5(10.5-65.0)㎏。先天性心疾患合併は4例で全てVSD。うち1例でバルサルバ洞動脈瘤破裂(VSAR)を合併。全例で弁病変を合併し僧帽弁5例,三尖弁4例,大動脈弁1例。手術適応は塞栓症を伴う (脳:3,肺:4,他:3) 可動性疣腫が8例,心不全が2例,内科治療抵抗性が4例(重複あり)。起因菌は黄色ブドウ球菌:8(MRSA:3),肺炎球菌:1,インフルエンザ杆菌:1であった。関連する既往にアトピー性皮膚炎:4,齲歯:1,SLE:1を認めた。手術は全例で疣腫/感染組織の切除を行い、9例で弁形成術(僧帽弁:4,三尖弁:4,大動脈弁:1)、1例で弁置換術(僧帽弁)、3例でVSDパッチ閉鎖、1例でVSAR修復を施行した。弁形成では5例でグルタルアルデヒド(GA)処理自己心膜でのパッチ形成、2例で人工腱索再建を行った。術後3.7(1.2-16.1)年のフォローで早期中期遠隔期死亡は認めず。再治療は5例(50%)で認め、術後早期に3例で再手術を要した。他にSLEでsteroid療法中の弁置換後2か月で再弁置換、三尖弁パッチ形成後4年でTR増悪に再形成術を要した。術後遠隔期での中等度以上の弁膜症増悪は前述のTR1例のみで感染再燃は認めなかった。【考察】術後早期に再手術を要した3例はいずれもIE診断直後緊急手術となった症例で術中に弁置換回避のための感染組織debridementのborder決定に苦慮した。使用したパッチの感染が明らかな例はなくGA処理自己心膜パッチ形成自体の有効性は許容されると思われた。【結語】小児における活動期IEの外科治療成績は良好とは言えず再手術率が高かった。十分なdebridementが再手術回避につながるが弁置換回避との兼ね合いが問題となると思われた。