[II-P08-1-06] 先天性横隔膜ヘルニア術後のShone complex, 左冠動脈肺動脈起始症に対して一期的根治術を施行した一例
キーワード:左冠動脈肺動脈起始症, shone complex, 先天性横隔膜ヘルニア
【背景】左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)は稀な疾患であり、それに大動脈縮窄(CoA)を合併した症例は現在までに数例の報告のみである。今回はさらに先天性横隔膜ヘルニア(CDH)を合併した非常に稀な疾患を経験したため、報告する。【症例】女児.胎児エコーでCDHと診断され、在胎38週5日2978gで出生。出生後にshone complexと診断され、PGE1-CDを開始、日齢2に横隔膜ヘルニア根治術施行。術後菌血症を呈したが、全身状態の安定を待ち、日齢27に当院に転院搬送。精査の結果、ALCAPAの追加診断となった。心エコーでは、肺動脈圧は左室と等圧、僧帽弁血流の流入速度は 2.5m/s、大動脈弁は2尖弁で、左室流出路は4.6mm(70% of normal)、3.5m/sの加速血流を認めた。一期的に大動脈弓形成術+冠動脈移植術+僧帽弁狭窄解除+心房中隔欠損作成術を施行。術後2週間で肺動脈圧は左室圧の5割程度に改善し、1か月で抜管。2か月で退院した。【考察・結語】本例ではCDHもあり高度な肺高血圧が遷延していたため逆に左冠動脈の大きな灌流不全をきたすことなく経過したと思われた.治療方針としては,高度な肺高血圧を認めることから、両側肺動脈絞扼術を挟んだ二期的根治術も検討される。しかし、冠動脈盗血のリスクがあることや,左冠動脈が右肺動脈下面から起始し解剖的に絞扼術が困難であること、肺高血圧の主因が僧帽弁狭窄によるものと考え、一期的根治を施行し、良好な経過を得た。本症例に対し文献的考察を加え報告する。