[II-P08-1-07] 乳幼児期における開心術後の二次性鳩胸に対する矯正装具 新しい治療評価法と効果因子の検討
キーワード:二次性鳩胸, 開心術後合併症, 矯正装具
【背景】乳幼児期に胸骨正中切開を伴う心臓手術を施行した患児の変形性竜骨型鳩胸(術後の二次性鳩胸)に対して、当科では突出した尾側の胸骨部のみを圧迫する独自の矯正装具を用い加療にあたってきた。今回、この装具の有効性を後方視的に再検証し、治療法の有効性に影響を与える因子を抽出した。【方法】対象は2013年5月から2022年11月までに本装具による治療を受けた51名(男児25名,女児26名,最終手術時の平均年齢7.7±5.8か月)。胸部側面レントゲン撮影から得られた二次性鳩胸の突出角度を指標とし、治療前の角度を独立変数とした治療後の期待値を回帰直線で求め、期待値達成の有無から2群に分類し(改善群:E群,非改善群:N群)、2群間比較により改善効果に影響を及ぼす因子を抽出した。【結果】全51例の患児のうち、E群は30例(58.8%)で、N群は21例(41.2%)であった。手術時年齢(p=0.125)、手術時体重(p=0.379)、心胸郭比(p=0.15)、染色体異常の有無(p=0.754)では有意差は無く、性差(p=0.048)、心疾患の重症度(p=0.024)で有意差を認めた。術後比較では、術後合併症(p=1)では有意差は無く、複数回の正中切開(p=0.025)や最終手術の複雑さ(p=0.013)で有意差を認めた。装具の装着期間(p=0.046)も有意差を認めるものであった。N群内における自己中断による装具脱着の割合は66.7%とE群と比べて有意に多かった。また、この研究観察内に装具装着による皮膚障害は認めなかった。【結論】胸骨正中切開後の二次性鳩胸に対して、本装具の有効性が乏しい患者群が抽出された。本研究に基づき、更なる装具の改良と治療成績を向上させるためのプロトコールが求められる。