[II-P08-2-06] 超低出生体重で出生した重症肺動脈弁狭窄例への経皮的肺動脈弁形成術
キーワード:未熟児, カテーテル治療, プロスタグランジン
背景: 重症肺動脈狭窄を有する超低出生体重児への生後早期からのプロスタグランディンE1製剤(PGE1)の使用は不安定な血行動態となり脳出血や呼吸循環不全を生じやすくする。また不安定な血行動態から早期に経皮的肺動脈形成術(BVP)を実施せざるを得なくなる。生後早期からのPGE1使用を控え、心外合併症を回避し体重増加を得た後に安全にBVPを実施できた超低出生体重児の1例を経験した。症例:妊娠24週6日に胎児重症肺動脈弁狭窄と診断した。在胎25週3日母体妊娠高血圧症候群、胎児機能不全のため帝王切開で出生した。出生体重514gであった。生後三尖弁輪径6.9mm(Z score -1.8)、肺動脈弁輪径 2.9mm(Z score -4.2)で順行性肺血流を確認したが、動脈管依存性肺血流から重症肺動脈弁狭窄と診断した。心外合併症を懸念しPGE1持続投与は行わなかったが、動脈管は開存を保っていた。日齢70から心嚢液貯留と浮腫が出現し増悪した。日齢83から動脈管血流が減少消失したため左室拡張末期径6.7mm(43% of normal)に減少し、SpO2は65%へと低下した。早急な肺血流確保のために日齢86に体重1570gでBVPを実施した。4Fr JRカテーテルおよび2.7Fr マイクロカテーテルで肺動脈弁を通過し、肺動脈弁輪径 4.6mmに対してSIDEN 2mmで拡張後TMP-PED 6mm(肺動脈弁輪径/バルーン径比 130%)で後拡張した。右室圧/体動脈圧比は1.76から0.65に低下し、SpO2は70%から93%へと回復した。また心嚢液も減少し、日齢111に抜管した。肺動脈弁狭窄が残存したため日齢202に2回目のBVPを実施した。肺動脈弁輪径 7mmに対してTMP-PED 8mm(肺動脈弁輪径/バルーン径比 114%)で拡張した。胸壁心臓超音波検査における肺動脈弁圧較差 94mmHgから45mmHgへ低下した。結論: 重症肺動脈狭窄を有する超低出生体重児の治療は、PGE1の使用を慎重に行い、体重増加が得られた後に低侵襲かつ安全にBVPを行うことが望ましい。