[II-P08-3-04] フォンタン術後患者における血清Angiopoietin-2濃度の意義
キーワード:Angiopoietin 2, フォンタン, 血管新生
【はじめに】Angiopoietin-2(Ang2)は血管新生に関わる血管成長因子の一つであり、低酸素環境や炎症などの刺激により放出され、Ang-2/Tie-2受容体の相互作用により毛細血管の透過性亢進や血管新生に関連している。Ang-2は様々な疾患で上昇することが知られており、成人期フォンタン術後患者においてAng-2が上昇していることが報告されているが、小児期フォンタン術後患者とAng2の関係については明らかにされていない。【目的】フォンタン術後小児患者とAng2の関連を明らかにすること。【方法】フォンタン術後患者(F群)の血清Ang2を測定し、二心室心疾患患者(C群)と比較した。同時期に施行した心臓カテーテル検査による血行動態指標、血液検査による血清学的指標を評価し、Ang2との関連を調べた。【結果】F群85人、140検体、C群45人、45検体のAng2が評価の対象となった(年齢中央値7歳, 男性106人)。血清Ang2はF群で有意に高く(中央値:F群7670pg/ml、C群2351pg/ml、p<0.001)、フォンタン手術の既往(オッズ比: 21.5、95% 信頼区間4.07-113.5)と心係数(オッズ比: 0.41、95%信頼区間0.17-0.99)が血清Ang2上昇の独立したリスク因子だった。F群85人のうち23人についてフォンタン術前と術後の血清Ang2を比較したところ、血清Ang2はフォンタン術後に有意に上昇しており(中央値:4310 pg/mL対 8952pg/ml, p<0.001)、術後血清Ang2値は術前の低い酸素飽和度と関連を認めた(オッズ比: 0.64、95%信頼区間0.41-0.99)。【結語】血清Ang2は小児期のフォンタン術後から上昇している。Ang2は慢性炎症や線維化と関連があると報告されており、フォンタン術後の病態に関連している可能性がある。