[II-P08-3-05] Gd-EOB-DTPAを用いた造影MRIによるFontan術前後の肝病変の変化とその関連因子
キーワード:Fontan, FALD, MRI
【背景】我々はGd-EOB-DTPA を用いた造影MRI検査(EOB-MRI)によりFontan術後患者の肝病変の評価を行い、Fontan術後早期から肝臓の異常造影所見を呈する症例が多く存在することを報告した。しかし、Fontan術前の肝臓MRI所見や術後の肝病変との関連性は検討されていない。【目的】EOB-MRIを用いてFontan術前後の肝病変の変化と関連因子を検討すること。【方法】対象は2014年から2022年にFontan術前後にEOB-MRI検査を施行した31例。Fontan術前のEOB-MRIでの肝静脈の拡張と肝辺縁の中心静脈領域の造影不良を有所見とし、正常群と有所見群の2群に分け、Fontan前後の画像の変化、血行動態指標、臨床経過との関係を検討した。【結果】Fontan手術時年齢中央値2歳2か月[1歳4か月-7歳5か月]、MRI撮影時Fontan術後年数中央値1年1か月[5か月-5年4か月]、Fontan術後平均観察期間8±3年であった。Fontan術前EOB-MRI所見が正常群22例、有所見群9例。Fontan術後MRIにおいて中等度以上の造影不良は14例に認めたがFontan術前の所見の有無と関係がなかった。有所見群で姑息術を含めたGlenn手術までの総人工心肺時間が長く(506±313 vs 297±177分、p<0.05)、Fontan術前のCVP(EDP)が高値(8±2 vs 6±2mmHg、p<0.05)であった。Fontan手術周術期データ、血検査所見は両群で差は認めなかった。Fontan術後ではCVPが高値であった(13±3 vs 11±3mmHg、p<0.05)。臨床経過では有所見群で優位にPLE発症等の予定外入院が多かった(4例 vs 1例)。【考察】本検討ではFontan術前に肝病変を有する症例は手術回数が多く、術前からCVPが高値であり術後合併症が高頻度であった。これらはFontan術後のMRI造影不良の重症度と必ずしも一致せず、Fontan術前後での肝病変はそれぞれ別の要因を反映していると考えられた。