[II-P08-5-02] ファロー四徴症術後症例における右室-肺動脈カップリング(Ees/Ea)のSurrogate指標としてのRVFAC/TRPGの有用性
Keywords:右室-肺動脈カップリング, Ees/Ea, ファロー四徴症術後
【背景】右室-肺動脈カップリング(Ees/Ea)は右心系の循環動態を示す重要な指標であるが、計測方法が煩雑で侵襲的であるために簡便に計測出来る代替心エコー指標がいくつか提案されている。そのなかで最も一般的に使用されているのはTAPSEをsPAPで割った比率である。しかし、ファロー四徴症術後症例では右室自由壁が胸壁に癒着しており、TAPSEの値が右室機能を必ずしも反映しないという問題がある。また、sPAPに関しては右室流出路狭窄の影響で正確な値が測定しにくい。我々は、RVFACをTRPGで除した値がTAPSE/sPAPよりも右室-肺動脈カップリング(Ees/Ea)の代替指標として有用であると考えて検証した。【目的】心エコー検査から得られるRVFAC/TRPGが右室-肺動脈カップリングを反映するかを検討する。 【方法】ファロー四徴症術後症例53例(7.5~44.3歳)を対象とした。心臓カテーテル検査施行時の右室圧波形からSingle beat法を用いてEes/Eaを算出した。SigmaPlot ver.15を用いてPmaxを求め、ESPは心室圧波形の二次微分が最小値を呈する値とした。Ees/Ea = (Pmax/ESP)-1と表される。四腔断面像から得られたRVFAC/TRPGをRV-PA couplingのSurrogate parameterとした。【結果】RVFAC/TRPGはSingle beat法で得られたEes/Eaと有意な相関が認められた(R2=0.27,p<0.0001)が、RVEFとは相関が無かった。また、RVFAC/TRPGとSV/RVESV(容積法で得られるEes/Ea)の間には有意相関は得られなかった。RVFAC/TRPGはRVEDV, RVESVと負の相関が得られた(R2=0.12, p=0.01, R2=0.15, p=0.004)。一方、TAPSE/TRPGについてはSingle beat法、容積法から得られたEes/Eaとは有意な相関が認められなかった。【結語】RVFAC/TRPGはファロー四徴症術後患者の右室-肺動脈カップリング(Ees/Ea)を示す非侵襲的な代替指標となり得ると考えられた。