[II-P08-5-03] 糖尿病母体児のMyocardial workについて
Keywords:妊娠糖尿病, Myocardial Work, 心エコー
【はじめに】2015年より妊娠糖尿病診断基準が改訂され全妊婦の7~9%が妊娠糖尿病母体(GDM)と診断される。新基準で診断されたGDMの妊娠中における血糖管理が出生したGDM新生児(GDMI)の心機能ついて検討された報告は少ない。【方法と結果】対象は中東遠総合医療センターにて出生したGDMI 25例。先天性心疾患等は除外。妊娠中の血糖管理はインスリン投与がGDM7例、他はカーボ制限食。GDMの妊娠中におけるHbA1c(%)と生後のGDMI心機能の関連を検討し,適切な血糖管理指標とされるHbA1c6.5%で2群に分類し生後の心機能を比較した。心機能の指標として左室心筋長軸方向ストレイン値(GLS)と末梢血圧から心筋仕事量を計算するMyocardial works(MCW), Color M-mode法(CM法)よりEulerの法則を用いた左室内圧較差(IVPD,IVPG)等を用いた。結果はMedian,p値<0.01**, 0.05*を有意差ありとした。その結果、GDMのHbA1cはGDMIのGWI (global work index)とGCW (global constructive work)と有意な負の相関を認めた(Figure1: GWI;r=-0.565**, GCW:r=-0.641**)。HbA1c6.5%未満と以上の比較(HbA1c6.5%:<群vs ≥群)ではGWI (mmHg%) : 826.5 vs 653.0*, GCW (mmHg%) 1181.5 vs 890.0*, IVPD (mmHg) 1.01 vs 0.73*, IVPG (mmHg) 0.34 vs 0.25*と2群で有意差を認めた。MCWによるPressure_Strain_Curves(Figure2)においてはHbA1c6.5<群(Green)は≥群(Red)に比し大きいい傾向にあった。【まとめ】GDMにおける妊娠中のHbA1cはGDMIのGWI,GCWと負の相関を認め,血糖管理指標としてHbA1c6.5%はGDMIの心機能的に妥当な値と思われた。心機能低下の原因としては、心筋エネルギー源として糖代謝から脂肪酸代謝にシフトすることで拡張障害が惹起される等種々報告されており、明確なメカニズムは明らかでないが、GDMIにおいても同様の病態が関与していると推測されMCWおよびIVPGによる心機能評価は鋭敏な指標になると思われる。