[II-P08-5-07] 僧帽弁逆流を伴う動脈管開存症に対する経皮的動脈管デバイス閉鎖前後の心室血管整合関係
Keywords:心室血管整合, 経皮的動脈管閉鎖術, 僧帽弁逆流
【目的】経皮的動脈管デバイス閉鎖(ADO)後は後負荷を反映する血管エラスタンス(Ea)は上昇するが、中には心室血管関係不整合から心室エラスタンス(Ees)上昇が不十分となり僧帽弁逆流(MR)が遷延する症例があると仮説を立て検証した。【方法】心不全症状がある、あるいは左室拡張末期径Z値≧2.0のADO実施例を対象とし、ADO前および治療翌日のEes(=収縮末期圧/収縮末期容積)、Ea(=収縮末期圧/1回心拍出量)を算出し、治療前後のEes、EaおよびEa/Eesを比較した。また治療6か月の時点でMRが軽度以上残存した症例に関してADO前後での心血管整合関係変化の特徴を検討した。【結果】対象は79例(男25例)、治療時月齢14(6.5-24)か月、動脈管径2.6(2.2-3.3)mm、体肺血流比1.6(1.3-2.1)、左室拡張末期容積22.7(16.1-31.6)mLであった。ADO前後の心血管整合性指標変化はEes 9.6(7.3-13.9)→10.2(8.0-13.9)(P=0.52)、Ea 6.6(4.5-8.0)→7.8(6.2-10.0)(P<0.05)、Ea/Ees 0.65(0.49-0.78)→0.75(0.57-0.90)(P<0.05)で、治療前後でEaが有意に増加したがEesは変化なく、結果左室仕事量は増加した。治療前MR合併17例、治療後6か月時MR残存9例であった。治療後6か月時MR残存例において、治療前Ees[10.8(9.6-11.5)vs7.3(5.7-8.9), p<0.05]と治療後Ea[9.8(9.0-11.2)vs7.6(6.2-8.2), p=0.05]が有意に高値であった。【結論】ADO治療後MR残存例において、術前よりEes増加が生じ、術後Ea増加に見合うEes増加が得られない可能性が示唆された。