The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長要望パネルディスカッション

会長要望パネルディスカッション3(II-PPD3)
Trisomy 13・18の小児循環器診療を考える

Fri. Jul 7, 2023 10:30 AM - 12:00 PM 第2会場 (G4)

座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学医学部 胸部外科), 座長:増谷 聡(埼玉医科大学総合医療センター小児科)

[II-PPD3-02] 過去10年間における18トリソミー児の生存予後の改善と心臓手術の変化

玉置 祥子 (兵庫県立こども病院 周産期医療センター 新生児内科)

Keywords:18トリソミー, 生存予後, 心臓手術

【緒言】近年、18トリソミー児に対する標準的な蘇生処置、内科的な集中治療、心臓手術を含む外科的治療が生存予後の改善に寄与すると報告されるなかで、周産期医療における治療方針に変化が生じている。当センターでは、「重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン」に基づき、全ての重症児に対して外科的治療を含めた標準的医療を提供している。今回我々は、当センターで入院管理を行った18トリソミー児の、過去10年間における生存予後、および治療介入の変化について検証した。【方法】2008年から2017年に当センターに生後1週間以内に入院した18トリソミー児のうち、予後不明4例を除く56例を対象とした。2008年から2012年に出生した前期群29例と2013年から2017年に出生した後期群27例の生存予後、治療介入について後方視的に比較検討した。【結果】患者背景は両群間に有意差はなかった。前期群および後期群、各々の1年生存率は34.5%、59.3%(p=0.107)、3年生存率は13.8%、44.4%(p=0.017)、生存期間の中央値は180日、535日(ログランク検定、p=0.005)で、生存予後は有意に改善していた。生存退院率は、前期群27.6%に対して後期群81.5%で有意に上昇していた(p<0.001)。心臓手術が行われた症例は、前期群10/28例(36%)、後期群18/27例(67%)で有意に増加していた(p=0.032)。初回の心臓手術が行われた日齢の中央値は、前期群45(3-163)、後期群28(7-98)で、後期群の方が早い傾向にあった(p=0.164)。【考察】過去10年間で18トリソミー児の生存予後、および生存退院率は有意に改善していた。先天性心疾患に対して、より積極的に手術介入する治療方針の変化が、予後改善の一因であると考えられた。今後、在宅移行する18トリソミー児の増加に対して、乳幼児期を含めた包括的な医療支援体制を整えることが重要である。