[II-PPD3-03] 18トリソミーの心疾患に対する姑息術の問題点
キーワード:18トリソミー, 姑息手術, 周術期合併症
【背景】近年本邦を中心に18トリソミーの心疾患に対し外科的介入を行うことで、生命予後、在宅移行率の改善が報告されている。18トリソミーに対する初回心臓手術は大半の症例で肺血流過多に対する姑息術となるが、その周術期問題点についての情報は少ない。【方法】2006年以降55例の18トリソミー児に対し、開心修復術6回、姑息術59回(PAB±PDA closure: 38 PDA closure: 12, bilateral PAB: 6, CoA repair+PAB: 1, BT shunt: 1, PA debanding: 1)を施行した。姑息術における周術期イベントと対策について検討した。【結果】姑息術周術期死亡は3例(5.1%) 。①PAB: 手術時日齢33(7-163)、体重1.85kg(1.35-2.8kg)。絞扼外周14-26mm。正中アプローチの2例でPDAからの出血を来し1例は人工心肺下での止血を要した。また、1.4kgの症例でPDA周囲の剥離中に心機能低下から心停止となりECMO導入となった。術後ECPRを1例に要し、術中ECMOの症例を含め周術期死亡は2例。②PDA closure:手術時日齢12(2-65)、体重1.36kg(0.66-2.54kg)。全例左開胸で行い、術中イベントなし、周術期死亡1例(胎児水腫)。③Bilateral PAB: CoAを合併しPDAの長期開存が期待される6例に行い、手術時日齢25 (13-169)、体重1.87kg(1.56-2.44kg)。1例は高度の低酸素血症の為にloose PAB(12.5mm)となった。周術期死亡なし。【分割姑息術への方針変換】18トリソミーに対する正中アプローチによるPAB+PDA closureは、低体重、高度心拡大と背側に傾斜した大血管、太く脆弱なPDA組織、予測困難な肺血管の反応性と心収縮予備能より手術リスクは高い。周術期イベントの経験から2018年以降は体重1.5kg未満の症例においては左開胸PDA closureを先行し、後日正中からのPABを行う二期的方針とし、以後重大な周術期合併症は認めていない。【結語】18トリソミーに対する姑息術は、疾患特有の問題点を把握した上での実施が望ましい。