[II-PPD3-05] 18トリソミーにおける内科管理と緩和ケア
キーワード:新生児, 胎児診断, アドバンスケアプランニング
手術を要する消化管疾患のない18トリソミーについて診療の変遷を報告する。2008-14年に入院した42名の退院率は45%であった。2015-19年8月(33名、胎児診断率97%)は、遺族からの意見も踏まえ、患者家族の希望があれば生後早期から産科病棟個室で祖父母、兄姉を含めた家族同室で輸液、酸素、利尿薬、輸血などを33名に行い、生存日数中央値は38日、退院率は42%(退院日齢中央値51日)であった。CPAPを含めた人工呼吸器管理を施行していないが、退院例の末梢血pCO2中央値は日齢7で59mmHg(呼吸数45/分),日齢30で53mmHg(呼吸数49/分)で、<pHは維持された高二酸化炭素血症>が多かった。死亡例の日齢7のNT-proBNP中央値は16521pg/ml、退院例は日齢7で8800pg/ml、退院時には3853pg/mlと低下していた。 家族滞在型NICU病床を設置した2019年9月-23年3月(22名,胎児診断率86%)は、NICU内で家族同室診療を行った。<pHは維持された高二酸化炭素血症>を許容し、NT-proBNPが10000pg/ml前後に上昇した時点で利尿薬を開始した。心臓手術や気管切開などをせず、生存日数104日に延長(p=0.04)、退院は82%に増加(p=0.004)した (退院日齢中央値53日)。 これらの診療には、産科医・新生児科医・小児循環器科医・遺伝カウンセラーで国内外の治療状況や長期的な生活情報を提供した上で分娩や生後の診療を児の状況や家族の希望に合わせてアドバンスドケアプランニングとして行っている。家族それぞれの過ごしたい時間の実現をチーム医療として目指している。後日、郵送で患者家族にアンケート調査を行った(回答率59%)。出生前の説明については、「適切」「ほぼ適切」が92%、分娩・診療については「希望通り」「ほぼ希望通り」が94%であった。 アドバンスケアプラニング、家族同室ケアおよびNT-proBNPなどを基にした内科的管理で8割の18トリソミー児が在宅医療に移行しており、情報提供や選択肢の1つになりうると考える。