[II-SY04-01] 小児期から考えるファロー四徴のlifelong management ~新生児期バルーン肺動脈弁形成術に期待される効果~
Keywords:ファロー四徴, 経皮的バルーン肺動脈弁形成術, 肺動脈弁閉鎖不全
【はじめに】成人期TOFで起こりえる問題の代表は右心拡大,右心不全,不整脈であるが,諸問題の根源は肺動脈弁閉鎖不全(PR)である.心内修復(ICR)時のTrans annular patch (TAP) repairはPRを増悪させる大きな要因であることから極力避けるべきと考えられている.このためにはICRまでに肺動脈弁輪径を育てる必要があるという考えに基づき,我々は新生児期の経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)を行ってきた. 【目的】新生児-乳児期早期のPTPVの効果について調査しlifelong managementにおける役割を考察すること. 【対象・方法】2006-2022年にICRを施行したTOFの86例. PTPV施行77例(V群)と, 心外疾患等の要因でPTPV非施行の9例(N群)に分類しNakata PA index (PAI), 肺動脈弁輪径のSD score (P-SD), BTS,TAPの要否,及びV群のTAP例と非TAP例の違いについて後方視的に検討した.【結果】V群とN群で初診時のPAI,P-SDに差はなかったが, ICR前にはPAI (316 vs 246), P-SD (-1.18 vs -2.91)ともV群で有意に大きかった. PAIは両群で初診時からICRの間に拡大が見られたがV群でより拡大の傾向が強く(V群:153 vs 313,N群 :149 vs 241),P-SDは V群のみ有意に拡大(-2.12 vs -1.19)していた. V群はBTS,TAPともN群より有意に少なかった.V群のうち非TAP例 に比してTAP例では初診時P -SDが有意に小さく(-1.70 vs -3.24),初診時PAV径, P-SDが4.7mm or -3.1未満では全例TAPを要していた.【考察】初診時PAV径が非常に小さい例ではPTPV後でも弁輪温存が難しい例は存在したが, V群ではBTSが少ないにも関わらずN群よりPAIの発育が良く,かつPAV径の発育は明らかに良好であった.新生児期PTPVによりTAPの必要性を低減できることが期待され,生涯における肺動脈弁への再介入を低減させる可能性が考えられる。