[II-SY04-03] これからの時代の外科的PVRとTPVIの適応について
キーワード:ファロー四徴症, 肺動脈弁置換, 成人先天性心疾患
心臓外科手術・内科的治療の成績が向上したことに伴い、現在では先天性心疾患の小児の約90%が成人期に達するようになった。その中で、特に問題となっているものの一つにファロー四徴症術後の肺動脈弁逆流がある。約30年前(1996年)のファロー四徴症の死亡率はすでに約5%程度と比較的良好であったが、現在はさらに低下して約2%未満である。このため今後ますます成人のファロー四徴症の患者は増加していくことが考えられる。肺動脈弁逆流は多くの場合、修復時の肺動脈弁輪切開に伴うtransannular patchの使用によっておこる。肺動脈弁閉鎖不全の手術適応としては、中等度から重度の肺動脈弁逆流があり、有症状で運動耐容能が低下したもの、自覚症状がない場合でも中~高度の右室機能低下、中~高度の右室拡大がある場合などが挙げられている。現在、本邦において肺動脈弁置換術は200例以上行われており、増加傾向にある。一方、経皮的肺動脈弁置換術(TPVI)も施設認定が開始されており、次第にその数は増加している。患者の立場にたてば、比較的低侵襲と「思われる」TPVIは魅力的だが、その長期的な予後、肺動脈弁の耐久性についてはまだ明らかとはなっていない。今後、これら手術、TPVIの適切な手術の適応、弁の選択、将来のカテーテル治療なども見越した治療戦略について、現状の客観的データに基づいた私見を述べる。