[II-SY05-03] 稀少疾患医療機器承認までの経済的諸問題 ~CPステント~
キーワード:サピエン3, TPVI, 革新的医療機器条件付早期承認制度
Edwards SAPIEN TMシリーズの経カテーテル生体弁は、症候性の重度大動脈弁狭窄症患者に対する低侵襲な治療デバイスとして開発され、第一世代のSAPIEN TMが2007年に欧州でCEマークを取得し、2011年に米国でFDA承認を取得した。本邦では、2013年に第二世代のサピエンXT TMの製造販売承認を取得し、現在では第三世代のサピエン3 TMを用いた経カテーテル大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI)が広く実施されている。一方、世界的に開胸手術を繰り返す先天性心疾患患者に対する治療については低侵襲な治療の普及が不十分であり、経カテーテル肺動脈弁留置術(Transcatheter Pulmonary Valve Implantation: TPVI)の必要性が提唱されるようになった。その結果、欧米では、2010年5月にSAPIEN TMの肺動脈弁位への適応拡大についてCEマークを取得し、サピエンXT TMについても2016年にCEマーク及びFDA承認を取得した。これを受け、本邦においてもTPVI導入が所望され、関連学会より医療ニーズの高い医療機器として要望書が提出されるに至った。そこで当社では、サピエン3 TMのTPVI国内導入を図るべく、革新的医療機器条件付早期承認制度を活用した薬事申請を行い、2020年9月11日付で製造販売承認を取得した。その後、関連学会と連携して慎重に安全導入を図ってきたが、導入施設数が少なく、適応も限定的であることから、適応症例が思うように集まらず、また併用デバイスの導入もないことから適応拡大に向けた動きも難しい状況である。今後、このような現状を打破し、本治療が国内で普及することが期待される。