[II-SY06-01] 心臓移植を見据えた先天性心疾患患者の補助循環治療
キーワード:先天性心疾患, 機械的補助, 心臓移植
背景先天性心疾患(CHD)の殆どが外科的治療により長期生存が期待できるようになったが、低心機能、拡張不全、その他の循環不全により機械的補助(MCS)や心臓移植(HTx)適応となる症例がある。しかし、原疾患の治療からの臨床経過やMCS・HTxの適応を考えるタイミングについての知見は乏しい。対象と方法CHDでHTx適応となった13症例について後方視的に検討した。検討項目は、診断、CHDに対する最終手術から移植適応・MCS・HTxまでの期間、各年齢、移植適応、予後とした。結果診断は、修正大血管転位4例、先天性僧帽弁逆流2例、その他の複雑心奇形7例で、血行再建8例、フォンタン2例、僧帽弁置換2例、1例は手術不要であった。最終手術時年齢8.9±7.2y(0-23y)、移植適応21.9±18y、MCS導入22.1±17.4yであった。移植適応は、体心室右室の心不全3例、拡張障害主体の心不全2例、虚血による左心不全2例、フォンタン不全1例、その他5例であった。移植に到達した4例中3例は強心薬投与待機で、1例は経過中にECMO導入したが離脱した。全例生存している。移植未到達9例中6例補助人工心臓(VAD)装着を要し、2例死亡(VAD1例)、7例が待機中である。移植適応からMCS導入までの期間は1例を除いてほぼ全例同時であった。結論CHD修復後に心臓移植を要する心不全となる症例は限られてはいるものの、移植適応からVAD装着までの期間は短く、他のMCSからの変更の症例もあった。最終手術から移植適応までの期間は平均10年と比較的期間が空いていること、移植到達症例はVAD装着せずに到達している事から、適応検討をより早期に始めることが重要と考えられた。