[II-SY06-05] 非移植施設でのEXCOR稼働体制と施設間連携
Keywords:非移植施設, EXCOR, 補助循環
非移植施設として2016年にEXCOR植込み実施施設認定を受けた当院は、EXCOR 1機稼働体制を整え、2019年8月に生後9ヶ月、体重8 kgのDCM、重症MR、心不全急性増悪の移植適応女児の遠隔ヘリ搬送を受け、第1例目のEXCOR装着を東京大学チームの支援を得て実施した。しかしながら搬送直後に循環破綻したのでcentral ECMOを導入した上でのEXCOR装着となり、術後はワルファリンやヘパリンでの抗凝固が不安定なため低分子ヘパリンを用いての長期管理を余儀なくされた。途中脱血不良のため脱血管の位置変更を要し、脳梗塞、脳出血、送脱血管挿入部の感染などを繰り返すうちに全身状態は悪化して約2年後に多臓器不全で失った。第2例目は7歳、体重14 kgの男児。MS、VSD、三尖弁両室挿入に対して前医にてTCPCに到達していた。遠隔期に心室機能が低下し、EF 7%と重度の心不全に陥った。高用量カテコラミン使用下でも多量の胸腹水が排出され、心移植の適応と判定された。国内にEXCORの空きがなく、第1例目を失って間もなくのタイミングで隣県から当院に搬送された。本症例では両心室が著明に拡大し左室心尖は背側に偏位していたために脱血カニュラの挿入に工夫を要した。また国内でも経験の少ないFontan後のEXCORである上に肺血管抵抗が高い可能性を否定できなかったため、BiVADスタンバイし、さらに遠心ポンプをLVADに用いて人工心肺離脱した後にEXCORポンプに切り替えた。こうした戦略は東京大学およびテキサス小児病院と綿密な協議をした上で確立した。幸い術後は速やかに胸腹水消失し順調に経過した。導入から1年半を経過し、静脈ライン、経管栄養、酸素投与すべて離脱し、抗凝固や送脱血管挿入部のトラブルもなく元気に過ごしている。連続した2例の経験を通して、非移植施設でのEXCOR稼働体制と施設間連携について課題を共有する。