第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム7(II-SY07)
新規心不全治療薬を先天性心疾患診療にどう活かすか

2023年7月7日(金) 10:30 〜 12:00 第4会場 (G303)

座長:坂口 平馬(国立循環器病研究センター小児循環器内科), 座長:石戸 美妃子(東京女子医科大学循環器小児科)

[II-SY07-03] Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor (SGLT2i) への期待

大内 秀雄 (国立循環器病研究センター 小児循環器科)

キーワード:SGLT2阻害薬, 成人先天性心疾患, 心不全

Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor (SGLT2阻害薬:SGLT2i)は抗糖尿病薬として開発され、その臨床試験から糖尿病患者の総死亡に加え心血管及び腎臓病の予後改善効果から慢性心不全や慢性腎臓病患者への第一選択薬として推奨されている。加えて、最近ではNAFLDなどによる脂肪肝、肝線維化、更に肝細胞癌の発症や進行防止効果の可能性が示されている。成人先天性心疾患(ACHD)患者では、一般の成人心不全患者と同様に高頻度の糖代謝異常を合併することに加え心腎連関に代表される多臓器連関が注目されている。更にフォンタン患者でのFALDはその臨床的重要性が注目されてきている。ACHD病態ではその全人的な治療と管理が重要とされている背景から、SGLT2iのACHD患者での有用性を期待させるが、その知見はほとんど無いのが現状である。我々はこれらの背景も考慮しつつ心不全を有するACHD患者に対しSGLT2iを使用してきている。今回はSGLT2iの概要とともに我々のACHD患者ので使用経験を提示しながらACHD診療におけるSGLT2iの可能性について議論したい。