第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8(II-SY08)
先天性心疾患・心不全患者における緩和ケアと適切な医療

2023年7月7日(金) 08:50 〜 10:20 第5会場 (G302)

座長:坂崎 尚徳(兵庫県立尼崎総合医療センター小児循環器内科), 座長:福田 旭伸(神戸大学循環器内科)

[II-SY08-02] 子どもの同意能力評価と意思決定支援に必要となるトラウマの理解

田中 恭子 (国立成育医療研究センターこころの診療部)

キーワード:同意能力, メディカルトラウマ, 意思決定支援

医療の進歩により、先天性心疾患や難病を抱える子どもの長期的生命予後が改善し、子どもと家族のQOLや心理社会的機能の向上や改善に向けた支援が望まれている。また成育支援法の制定とともに、子どもをバイオサイコソーシャルに支援する取り組みが重要視されつつある。小児医療において子どもが医療行為に関する説明を受ける権利や自分で意思決定する権利に関する認識は向上がみられている一方で、子どもの同意能力評価、意思決定支援のあり方に関しては未確立のままであり、臨床現場の主観的評価に委ねられている現状がある。さらに、意思決定に影響する心理社会的要因およびその支援方法論も未解決となっている。子どものアドバンスケアプランニングを考える以前に、私たちがなすべきことがあるように考える。子どもが医療行為に同意するために必要な要素には、①情報、②意思決定能力、③自発性がある。さらに、 ②意思決定能力は4要素:(a)必要な情報の理解、(b)状況と起こりうる結果の認識、(c)治療の選択肢に関する推論、(d)選択の表明から成り立つ。つまり、子どもの意思決定能力を適切に評価することが、子どもの同意能力の判定および意思決定支援において重要である。さらに、子どもの同意を得るうえで子どもの疾病受容は重要である。子どもの疾病受容を支援することは、治療への参加意欲だけでなく、ヘルスリテラシーの向上、自律や自己の確立、心理社会的QOLの向上など、様々な面での成長発達を導くこととなる。本学会でのシンポジウムでは、子どものコンサルテーションリエゾンの現場から、子どもの意思決定を支える理論と実践に関してお話させていただく