[II-SY08-05] 小児循環器患者の在宅での看取りの現状と課題
Keywords:緩和ケア, 終末期, 小児心疾患
【背景】小児循環器領域においては、一医療者が終末期に関わる機会が少なく、かつ病態がさまざまである。また心身ともに発達段階にある小児患者への向き合い方、患者を取り巻く社会環境に個別性が高い。そのため患者および家族が望んだとしても、在宅での看取りを提案することは困難な状況にある。【方法】2010年から2022年に死亡ないし移植待機した当院の小児心疾患および成人先天性心疾患患者のうち、患者あるいは家族に対し終末期の療養場所の選択肢として、病院と自宅の両方を提示した2歳以上の症例8例を対象とした。疾患、医療的ケア、死亡状況、患者および家族の意向、最終入院期間を後方視的に検討し、課題を考察した。【結果】死亡(移植)時年齢は中央値11歳(2~21歳)。フォンタン循環不全3例、18トリソミー2例、総肺静脈還流異常1例、肺動脈性肺高血圧1例、拘束型心筋症1例であった。在宅酸素あるいは陽圧換気を行っていた症例が7例、うち4例に長期留置型中心静脈路を伴った。内服以外の医療的ケアのない例が1例であった。患者家族の意向を踏まえ、在宅死を念頭に予め訪問診療医に死亡確認を依頼した例が4例、自家用車で来院後の死亡確認を予定した例が1例、有事に救急要請する方針をとった例が3例であった。最終的に7例が死亡(在宅2、病院5)、1例が肺移植に至った。最終入院期間中央値5日(1~16日)、終末期の鎮静薬使用6例、オピオイド使用4例、気管挿管および胸骨圧迫2例であった。【まとめ】医療的ケアを有する例では訪問診療医と連携を取りやすく、在宅での看取りを検討しやすい。一方、終末期においても病院での治療を希望する例も多く、在宅か病院かどちらかではなく、どちらにも対応できるよう準備しておくことが患者家族のニーズにつながると考えられた。在宅での看取りを提示することで、入院期間を短縮できる可能性がある。