The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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JSPCCS-JCC Joint Session

JSPCCS-JCC Joint Session(II-TSPCJS2)
先天性心疾患に対する、抗凝固・抗血小板療法に対する治療戦略

Fri. Jul 7, 2023 9:30 AM - 10:30 AM 第2会場 (G4)

座長:大内 秀雄(国立循環器病研究センター成人先天性心疾患センター), 座長:中川 直美(広島市立広島市民病院循環器小児科)

[II-TSPCJS2-02] 単心室患者に対する抗血小板・抗凝固療法

佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:単心室, 抗凝固療法, 凝固線溶系

【背景】フォンタン手術(F術)後患者の血栓症の報告はあるが、それに対する予防策の選択を決める明確な報告はない。【目的】血栓を形成するVirchowの3要因は、①血管壁の異常②血流の異常③血液成分の異常の3つで、先天性心疾患患者はこの要因を有しており、血栓形成の危険性があると考えられる。①は心臓自体の構造異常や人工血管、②右心バイパス手術患者では静脈うっ滞や拍動性のない肺動脈血流、③は低酸素血症に伴う多血症などである。【方法】上記各項目を検討した。①当院でTCPC conversionを行った18例。②one and one half(1+1/2)患者10例とF術後患者41例。③右心バイパス前後に凝固線溶指標を検査した26例。【結果】①TCPC conversion前後での検討では、中心静脈圧や心係数には有意差はないが、酸素飽和度は有意に上昇。F術後に上昇した因子としては、トロンボモジュリン、プロテインC,アンチトロンビン、低下は、TAT、PIC、PAI-1であった。②上大静脈圧と酸素飽和度はF術後が低く、下大静脈圧はF術後が高かった。その他の凝固線溶系因子には有意差は認めなかった。③右心バイパス前の患者は、右心パイパス後より高TAT、高PAI-1で、PICはグレン後、F術後が術前より高く、トロンボモジュリンとプロテインCはグレン術後が最も高かった。【考察】 単心室患者は右心バイパス術前より凝固線溶系指標の異常値を呈しており、F術後の低酸素血症改善後でも同様の状況にある。人工血管を用いたTCPC conversionでも血行動態の改善により凝固線溶系因子の改善を認めている。拍動性の有無に関しては有意差がなく、1+1/2患者の血行動態でもF術後患者と過凝固状態には差がないとも考えられた。多血症の症例は凝固因子が活性化していると考えられ、より注意深い管理が必要と考えられた。【結論】 抗凝固療法、抗血小板療法などどの予防策が有効か結論は出ていないが、今後はDOACも含めた予防対策が必要と考えられた。