[II-V-03] 大動脈弁上狭窄に対する外科治療
キーワード:大動脈弁上狭窄症, 大動脈弁狭窄症, Myers法
目的)大動脈弁上狭窄症は、稀な先天性心疾患であるが、無症状であっても狭窄が進行することが多く、注意深い経過観察が必要である。当院における大動脈弁上狭窄症に対する外科治療成績について報告する。方法)大動脈弁上狭窄症手術は5例、手術時年齢中央値6.6歳(5.5―15.8歳)、体重中央値17.9Kg(17.4―49.2kg). Williams症候群を1例に合併していた。術前大動脈狭窄部に対してカテーテル治療を4例に5回施行した。平均観察期間4.5±3.8年(最長10.6年)左室―大動脈間の圧較差が50mmHg以上を手術適応としているが、症状、合併疾患等で総合的に判断している。結果)手術死亡、遠隔期死亡なし。再手術を必要とする症例はなかった。術後検査にて大動脈弁上部圧較差が残存する症例は認められず。1例で術後残存する肺動脈狭窄に対してカテーテル治療を必要とした。術式別検討)1.Single sinus reconstruction 1例、高度僧帽弁逆流に伴う中等度(30mmHg)大動脈弁上狭窄に対して手術。2.Doty法 2例に施行。パッチ拡大には人工血管を用いた。同時手術は、両側肺動脈形成術1例であった。3.Brom法 二尖弁を伴う大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁交連切開及びBrom法による大動脈弁上狭窄解除を行った。4.Myers法 1例。大動脈弁上狭窄に伴い大動脈弁狭窄症と中等度大動脈弁閉鎖不全を伴っていた。大動脈弁形成術及びMyers法による大動脈弁上狭窄解除を行った。現在術後2か月であるが、大動脈弁、弁上狭窄も解除されており、大動脈弁逆流も軽減している。Brom法及びMyers法の手術ビデオを供覧する。結語)すべての術式において大動脈弁上狭窄は解除することが出来ていた。最近の症例では、バルサルバ洞の対称性を維持することが大動脈基部の機能を長期に温存することできると考え術式を選択している。