[III-CSY08-02] 孤立性右室低形成の臨床学的特徴と予後調査
キーワード:孤立性右室低形成, チアノーゼ, 右室容量
【背景】孤立性右室低形成(IRVH)は、報告が少なく、その臨床経過や予後についての調査研究は十分になされていない。【目的】IRVHの疫学、臨床学的特徴と予後を明らかにすること。【方法】2021年から、共同研究施設として24施設を登録した。IRVHの診断基準は、心臓カテーテル検査または心臓MRI検査で右室容量が70%以下であること、右室流出路に中等度以上の狭窄がないこと、先天性心疾患の合併がないこととした。基本情報、心臓超音波、心臓カテーテル検査の情報を収集した。【結果】症例は10例(男児4例、女児6例)で、診断時年齢は0〜9歳で、6例(60%)が日齢2までに診断されていた。フォローアップ期間は5.5年(0.5〜20年)で、全例生存している。10例中2例が兄弟例であった。診断の契機は、チアノーゼが3例(30%)、検診やスクリーニングが6例(60%)であった。診断時平均経皮的動脈血酸素飽和度は88.5±11.4%で、90%以下の症例が半数であった。手術介入は4例(40%)であった(BTシャント2例、ASD半閉鎖1例、Fontan手術1例)。心臓カテーテル検査では、平均右室拡張末期容量の正常比(RVEDV%of N)は51±12.4%であった。心エコーでは、ASD/PFOを7例(70%)に認め、うち4例が右左短絡であった。最終検査時には2例が左右短絡に変化した。Fontan手術症例は心カテでのRVEDV%of Nが10%未満であり、BTシャントを施行した2例は50%以下であった。60%以上の4例はASD/PFOが閉鎖可能であった。【考察】RVEDV%of Nが50%以下の症例では、半数が右左短絡を認め、最終受診時にもチアノーゼが残存していた。そのため、右室容量がチアノーゼと右左短絡と相関していると考えられた。【結論】IRVHの臨床像を明らかにすることができた。今後、予後を明らかにするために、症例数を増やしさらなる検討を行う予定である。また、遺伝子型・表現型連関を検証する予定である。