[III-CSY08-08] 小児肺動脈性肺高血圧患者における診断前学校心電図所見の検討:多施設共同研究
キーワード:肺高血圧, 学校検診, 心電図
【背景】肺動脈性肺高血圧(PAH)は、遺伝子変異や先天性心疾患などに伴い発症する予後不良疾患である。特発性/遺伝性PAH(I/H-PAH)は小児のPAHの57%を占めている。12歳以上の患者においては、早期(WHO機能分類II)のPAHに対する治療介入の有用性が報告されている。日本ではPAHの学校心電図検診による診断が報告され、2012-2015年に当学会学術課題研究としておこなった調査ではI/H-PAH患者の32%、学童以降の患者に限れば41%が学校検診を契機に診断されていた。研究では心電図検診で発見できる患者は“肺動脈圧は上昇するが、症状が乏しく、右室機能が保たれる”特徴的な集団であることを示した。【目的】前研究で不明であった実際の心電図所見とPAHの発見前の心電図所見を解析する。【方法】2020年度当学会研究委員会研究(課題B)として、小児I/H-PAHの診断前学校心電図の検討。2005年1月以降に、新規に診断した、診断時年齢6歳以上18歳以下のI/H-PAH患者を対象とした既存資料を用いた観察研究。小児循環器学会専門医修練施設を対象に、PAH診断時並びに診断前の学校心電図記録を過去に遡って解析する。【結果】1次調査では143施設中118施設(82.5%)から回答があり、症例ありは、45施設(38%)であった。2023年5月までに97例(男56、診断年齢10.1歳)登録あり、診断契機は学校検診37例、症状50例、家族歴6例、偶然の機会4例であった。生存86例、死亡11例。心電図は、合計219回分が収集された。診断前の心電図は29例(30%)で収集された。【結論】 診断前の心電図は30%で解析可能であった。2023年5月で症例登録を締め切り最終解析を行う。