委員会企画シンポジウム8（III-CSY08）
先課題研究委員会年次報告セッション

[III-CSY08-09] Fontan 術後の門脈血行動態に関しての研究

^○杉谷 雄一郎¹, 若宮 卓也², 藤野 光洋³, 倉信 裕樹⁴, 浦山 耕太郎⁵, 麻生 健太郎⁶, 東 浩二⁷, 斎藤 和由⁸, 野崎 良寛⁹, 岩本 洋一¹⁰, 宗内 淳¹ (1.JCHO九州病院 小児科, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器科, 3.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 4.鳥取県立中央病院 小児科, 5.土谷総合病院 小児科, 6.聖マリアンナ医科大学 小児科, 7.千葉県こども病院 循環器内科, 8.藤田医科大学 小児科, 9.筑波大学 小児科, 10.埼玉医科大学総合医療センター 小児科)

キーワード：FALD, Fontan手術, MRI

【目的】Fontan関連肝臓病（FALD）の病態解明のため日本小児循環器学会「Fontan術後の門脈血行動態に関しての研究（課題2020B-03）」実施にあたりFontan術後患者の門脈循環と肝線維化および肝腫瘤病変との関連を明かにする多施設研究を行った。【方法】Fontan術後患者において磁気共鳴画像（MRI）によるphase contrast法での心係数（CI）、門脈血流（PVF）および総肝血流（HF）[（導管血流量）-（肝静脈合流前下大静脈血流量）]を測定した。またGd-EOB-DTPA造影により肝8亜区域のsignal intensity（SI）からrelative enhancement（RE）[(造影前SI-造影20分後SI)/（造影前ST）]を算出した。肝腫瘤性病変の有無も同定した。各血流指標と肝線維化・腫瘤病変の関連を検討した。【結果】Fontan術後患者 29例[年齢 18 (14ー26) 歳、Fontan術後17 (11ー23)年]を対象とした。酸素飽和度94(92─95)%、中心静脈圧9(11─13)mmHg、CI 2.4 (2.0ー2.9) L/min/m²、PVF 0.30 (0.23ー0.42)L/min/m²、HF 0.41(0.09ー0.60) L/min/m²、PVF/CI比12 (10ー17)%、HF/CI比14 (6ー19) ％およびRE 0.72 (0.59ー0.79)だった。REはPVF(R=0.42)との間に有意な正相関がみられたが、中心静脈圧（R=-0.27）、CI（R=0.22）、PVF/CI比(R=0.36)、HF（R＝-0.25）、HF/CI比（R=-0.30）と相関はなかった。また過形成結節9例（肝細胞癌0例）を同定し、肝腫瘤病変の有無においてPVFに有意差をみとめた。[0.31(0.30─0.49) vs 0.21(0.14─0.29), P=0.03]。中心静脈圧、CI、、HF、PVF/CI比、HF/CI比およびREに有意差はなかった。【結語】FALDにおいて肝線維化の進行により門脈血流量低下が観察され、肝腫瘤病変合併例では門脈血流が有意に低下していた。