[III-CSY9-05] 英語論文を魅力的にするには?
Keywords:英語論文, 投稿, 英語校正
【背景】英語原稿が独特の“日本語英語”ゆえに、内容がうまく伝わらないこと、読んでもらえないことがある。【目的】日本語脳と英語脳の違いに気づくことで、JPCCS(Journal of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery)に掲載される英語論文の質を高め、海外の読者により多く引用されるように努める。【方法】投稿原稿から、英語らしくない表現の基本要因を抽出する。【結果】1)思考過程の順序:英語と日本語では、構文順序や種々の表記が逆である。日本語的発想に固執せず、論理の流れを柔軟に意識することが一助となる。2)接続詞:日本語における使用は、英語と異なる場合があることに配慮する。特に、“however”や“therefore”を多用することは控えた方が良い。否定文の後の接続詞にも注意する。接続詞使用を厳選し、各文の論理の流れで文脈が連なるようにすると良い。3)長大な主語:“頭でっかち”の文は敬遠される。これは構文順序の違いにも関連している。4)抽象名詞:日本語の科学論文では、かなり頻繁に抽象名詞が用いられる。英語では、観念でなく具体的に状況を示す方がわかりやすい。特に、“〜〜性”のような単語を主語とする際は注意を要する。5)反復表現:語彙力に関連する。同一の単語やフレーズが頻回に反復出現すると、海外読者の読もうとする気力は減退する。【考察】わかりやすい英語草稿が投稿されることはあるが、その割合は高くない。Native English userのチェックで英文法の側面は正しくなるであろう。一方で、当該分野についての専門知識が乏しいと推測される場合がほとんどで、修正された原稿の医学的内容が必ずしも妥当とは言えないこともある。英語力に加えて医学知識を有するJPCCS独自の校閲者を任命することは、今後の一案かもしれない。【結論】JPCCSに投稿する論文著者に英語の特徴を啓蒙することで、質が高く被引用に耐える英語論文の掲載を目指す。