[III-P09-1-05] アミオダロンによる肝障害を呈したAtriopulmonary connection Fontan術後の一例
Keywords:アミオダロン, 肝障害, APC Fontan
【背景】アミオダロンは難治性の不整脈で使用され、先天性心疾患術後症例の不整脈管理においても重要な役割を担っている。その一方で、重篤な副作用を惹起し得る薬剤であり、肝臓では薬剤性のnon-alcoholic steatohepatitis(NASH)を来すことが知られている。【症例】35歳男性。生後、無脾症、右室性単心室と診断され、7歳でAtriopulmonary connection (APC) Fontan手術が施行された。23歳頃から動悸を自覚するようになり、28歳の時に心房頻拍と診断。その後も動悸発作を繰り返すため33歳(術後26年)でアミオダロンの内服を開始した。内服を開始してから不整脈のコントロールは良好であったが、肝逸脱酵素の上昇を認めた。当初はフォンタン術後肝障害を念頭に経過観察したが、肝機能が徐々に増悪したため、アミオダロン内服開始後約2年で肝生検を施行した。またその際に測定したモノデスエチルアミオダロン血中濃度は832ng/mLと高値であった。病理組織では肝細胞に脂肪性肝炎様の変化を認め、フォンタン術後肝障害を背景としたアミオダロンによる肝障害と診断し、アミオダロンの内服を中止した。以降、肝逸脱酵素は正常化し、現時点で不整脈の再燃も認めていない。【結語】アミオダロンによる肝障害は時に致死的な経過を取り得ることから、内服中は肝機能と血中濃度のモニタリングが重要であると考えられた。