[III-P09-4-02] ファロー四徴症/肺動脈弁欠損における胎児期の肺動脈径と気道症状の考察
キーワード:胎児診断, ファロー四徴症, 肺動脈弁欠損
【はじめに】ファロー四徴症/肺動脈弁欠損(TOF/APV)は、肺動脈の拡大により気道圧迫を来し、出生直後から呼吸不全への介入が必要になる可能性がある稀な疾患である。出生後の気道症状のリスク因子について、当施設で胎児期に診断したTOF/APV3症例を検討した。【症例】症例A:妊娠22週1日で診断、肺動脈形態はクローバー型。在胎38週6日、2878g、Apgar score 8-8で出生。染色体異常なし。出生直後からCPAPを開始したが離脱可能で日齢19に退院し、11か月時に心内修復術を施行した。症例B:妊娠27週3日で診断、肺動脈形態はクローバー型。在胎38週4日、2210g、Apgar score 8-8で出生。22q11.2欠失あり。出生直後からCPAPを開始したが離脱困難であった。入院のままCPAP管理を継続して、5か月時に心内修復術を施行した。症例C:妊娠24週2日で診断、肺動脈形態はクローバー型であり、動脈管を認めた。在胎38週1日、2780g、Apgar score 6-8で出生。染色体異常は未検査。出生後、広範な無気肺を伴っており気管挿管した。気管軟化が強く抜管困難と判断し、1か月で気管切開施行、6か月で心内修復術を施行した。胎児エコーは初回25週1日-28週4日、最終35週1日-36週3日に行った。胎児期の肺動脈弁最大血流速度はA:2.52、3.98m/s、B:1.84、3.07m/s、C:2.49、3.13m/s。胎児期と出生時の右/左肺動脈径(mm)はA:6.0/6.3、10.0/12.2、9.9/10.5、B:6.7/5.9、8.6/8.1、9.6/9.4、C:5.8/6.4、8.8/9.2、11.5/9.3であった。【考察】肺動脈狭窄が最も高度であった症例Aは出生時に肺動脈径はやや縮小していたが、症例B・Cは出生時まで肺動脈拡大が進行していた。TOF/APVにおいて肺動脈狭窄が比較的軽度の症例では、出生時まで肺動脈拡大が進行することで呼吸障害につながる可能性が示唆された。出生後の呼吸障害の重症度には、出生体重や染色体異常等の要素も関連していると考えられ、今後も症例の蓄積が必要と考える。