[III-P09-4-05] 妊娠22週未満に先天性心疾患と胎児診断された症例における妊娠継続例・人工中絶例の比較
Keywords:22週未満, 胎児先天性心疾患, 人工妊娠中絶
【緒言】胎児心スクリーニングは一般的に妊娠18週以降に可能とされる.人工妊娠中絶(AA)可能な妊娠22週未満(<22w)の先天性心疾患(CHD)診断例では,妊娠継続するか否かの選択が可能だが,時間的猶予は少ない.【目的】<22w診断胎児CHD症例の妊娠継続例・AA例を比較しその背景を知ること.【対象・方法】2018年1月から2022年12月に初回当科胎児心エコーが<22wに行われCHDと診断された35例を後方視的に検討.【結果】妊娠継続(S群)18例(51%)(出生待機1例,死産0例),AA(A群)17例(49%).家族背景は,母体平均年齢S群31歳,A群32歳(p=0.62),同胞ありS群7例(39%),A群10例(59%)(p=0.32),流産歴S群6例(33%),A群5例(29%)(p=1.0),不妊治療S群4例(22%),A群1例(6%)(p=0.34).胎児CHD疑いでの紹介はS群7例(39%),A群9例(53%)(p=0.50).CHD診断週数中央値はS群20週,A群19週(p=0.15).疾患は,S群 SV 3例,PA/IVS 1例,Ebstein 1例, TAC 1例,TOF 3例,DORV 3例,AVSD 1例,VSD 5例,A群 SV 7例,HLHS 3例, PA/IVS 1例,PA/VSD 2例,TOF 1例,AVSD 1例,TGA 1例,VSD 1例.UVR対象疾患S群5例(28%) ,A群10例(59%)(p=0.09).Heterotaxy(Hx) S群2例(11%),A群4例(24%)(p=0.40),染色体異常S群2例(11%),A群3例(18%)(p=0.66),心外合併症S群2例(11%),A群3例(18%)(p=0.66). <22wの小児循環器科受診1回,診察後助産師のフォロー.妊娠継続・AAに関わらず当院診療継続例には臨床心理士も介入.AAを希望したが処置直前に撤回した1例あり.【考察】今回の検討で2群間に有意差のある項目はなかったが,A群ではUVR対象疾患,同胞あり,不妊治療なしが目立った.家族形成に対する各々の価値観が妊娠継続の意思決定に寄与すると考えられる.早期胎児診断時の小児科医の務めは,家族を説得することではなく,健全な家族形成を支援することである. 家族が納得した上で意思決定できるよう,より正確・詳細な情報提供を行い,選択結果によらず家族を支えていくことが重要である.