[III-P09-4-07] 治療希望がなかった先天性心疾患の胎児診断例の検討
Keywords:先天性心疾患, 胎児診断, 人工妊娠中絶
【背景】先天性心疾患(CHD)の胎児診断は向上している一方で、人工妊娠中絶や出生後治療の差し控えを選択する症例も少なからず存在する。【目的】胎児診断したCHDで治療介入の希望がなかった症例を検討し、今後の課題を検討すること。【対象・方法】2018年1月から2022年12月の5年間でレベルⅡ胎児心エコー精査を施行した277例。CHDの診断時期、心外合併症、染色体異常、治療介入の希望のなかった症例の詳細などについて、後方視的に検討。【結果】CHDを胎児診断した88例、診断時期は妊娠18~41週(中央値29週)。妊娠22週未満で診断した10例(11.4%)の内、4例が人工妊娠中絶を選択(40.0%)。3例は妊娠20週、1例は妊娠18週時の診断であった。疾患の詳細は18trisomy・CoA/VSD、口唇口蓋裂・DORV、横隔膜ヘルニア(CDH)・単心室、三尖弁閉鎖単独例であった。妊娠22週以降に診断した78例中2例(2.6%)で、出生後治療の差し控えを希望された。CDH・単心室、HLHS単独例で、2例ともに多職種カンファレンスで同意を得た上で、出生後に産科病棟で母児同室とし、看取りのケアを行った。【考察】治療を希望されなかったCHD胎児診断例は6/88例(6.8%)で、22週未満では診断例の40%が中絶を選択された。心外異常や染色体異常の合併が多く、CHD単独例はいずれもFontan candidateであった。CHD胎児診断の際には、速やかに産科医と連携して心外合併症の検索や染色体検査などを検討し、長期予後も含めた詳細な説明、多職種での家族支援などをすすめ、治療を希望されない場合は児と家族の最善の利益について繰り返して話し合う必要がある。22週未満の場合は時間的制限がある中で、可能な限り多職種で連携し、複数回の家族対応が行えるように努める必要がある。