[III-P09-5-05] 川崎病亜急性期に生じたトロポニンI上昇を伴う心外膜炎に対して中等量アスピリンが奏功した2例
Keywords:川崎病亜急性期の心外膜炎, トロポニンI上昇, 中等量アスピリン
【背景】一般に急性心外膜炎に対する治療としてアスピリンが使用される。川崎病亜急性期に生じたトロポニンI上昇を伴う心外膜炎に対して中等量アスピリンが奏功した症例を2例経験したので報告する。【症例1】1歳女児。発熱4日目に当院受診し、川崎病主要症状6/6で川崎病と診断し同日(Day4)からIVIG 2g/kgとアスピリン 30mg/kg/day内服を開始した。その後は順調に経過しDay14にアスピリン 5mg/kg/day内服に減量後、Day15に退院とした。入院中はトロポニンI < 0.0100 ng/mLを維持していたが、Day19の外来での検査で0.0168 ng/mLと上昇を認めた。Day24に0.1044 ng/mLまで上昇し、心臓超音波検査で心嚢液貯留・左室後壁の輝度上昇も出現したため、心外膜炎の診断で同日からアスピリン 30mg/kg/dayに増量した。川崎病症状含め臨床症状は認めなかった。その後Day34,48に心嚢液減少傾向、トロポニンIも低下傾向となり、心外膜炎は改善していると考えられた。【症例2】7ヶ月男児。発熱5日目に当院受診し、川崎病主要症状3/6と心臓超音波検査で冠動脈壁輝度上昇認め、不全型川崎病と診断。同日(Day5)からIVIG 2g/kgとアスピリン 30mg/kg/day内服を開始した。その後は順調に経過しDay13にアスピリン 5mg/kg/day内服に減量後、Day14に退院とした。Day20から断続的に発熱を認め、Day25に当院受診した。トロポニンI 0.0360 ng/mLと上昇認め、心臓超音波検査で心嚢液貯留・心外膜輝度上昇も出現したことから、心外膜炎と診断。同日からアスピリン 30mg/kg/dayに増量した。その後は解熱維持し、心嚢液消失、トロポニンIも正常化し、心外膜炎は改善していると考えられた。【結論】川崎病亜急性期に生じたトロポニンI上昇を伴う心外膜炎に対して中等量アスピリンを使用したところ、心臓超音波検査で心嚢液減少し、トロポニンIが低下傾向となった。川崎病亜急性期の心外膜炎に対して中等量アスピリンが有効である可能性が示唆された。