The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

心筋疾患

ポスター発表(III-P11-4)
心筋疾患2

Sat. Jul 8, 2023 11:20 AM - 12:10 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:熊本 崇(佐賀大学医学部附属病院 小児科)

[III-P11-4-06] 重篤な経過を辿った家族性拡張型心筋症の兄妹例

西岡 真樹子, 星野 健司, 橘高 恵美, 古河 賢太郎, 百木 恒太, 河内 貞貴 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)

Keywords:拡張型心筋症, 家族性, 心筋症関連遺伝子

拡張型心筋症の20-35%は家族性に発症するといわれている。今回、家族性拡張型心筋症の兄妹例を経験したため病理学的検討と遺伝学的解析を行った。第1子(男児):在胎40週 3280gで出生。入院当日(1か月14日)に哺乳不良と活気低下を認めたため近医を受診したところ傾眠傾向であり二次救急病院に紹介となった。著明な心収縮の低下を認めたため心原性ショックとして当院に搬送となった。心エコーではLVEF 10%、LVDd 41mm(173%N)、左室壁が菲薄化しており拡張型心筋症を強く疑う所見であった。速やかに血管作動薬、利尿剤を開始したがLVEF 15-19%で経過した。入院21日目には低心拍出が原因と思われる血便が出現した。心移植登録の情報提供を行ったが希望されなかった。入院35日目にMSSA菌血症とVTを合併し入院44日目(2か月25日)に永眠した。第2子(女児):在胎39週 3140gで出生。入院当日(日齢14)に活気低下、顔色不良を認め二次救急病院に搬送となったが、血圧測定不能のため当院に転院となった。心エコーではLVEF 10%、LVDd 25mm(114%N)、左室壁が菲薄化しており第1子と同様に拡張型心筋症を疑う所見であったが、第1子よりも左室拡大が軽度であったことからより強い拡張障害がある可能性が考えられた。入院2日目にATを合併しlandiololを開始した。高容量の血管作動薬を使用しても血圧は低値で経過し入院8日目(日齢21)に永眠した。病理所見では間質性線維化、心筋細胞の大小不同を認め2症例とも拡張型心筋症に矛盾しない所見であった。血液検体での遺伝子解析では両児ともサルコメア遺伝子の1つであるTNNI3遺伝子の新規missense変異が同定された。心筋症における遺伝子解析は次子再発率の予測や血縁者スクリーニングに寄与し、遺伝カウンセリング上の重要な情報となり得る。