[III-P12-1-01] 左冠動脈肺動脈起始症術後の左室心筋リモデリング
Keywords:BWG症候群, スペックルトラッキング法, 術後心機能
【目的】 左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)は心筋虚血を背景に発症する。冠動脈移植後の左室心筋リモデリングについて心臓超音波検査から明らかにする。【対象・方法】 2000年から2020年に治療を行ったALCAPAおいて(他の心内構造異常合併除外)、経胸壁心臓超音波検査において、左室拡張末期径対正常比率(LVDD%N), 左室駆出率(LVEF), E/e’, 僧帽弁逆流(MR)、スペックルトラッキング法によるglobal longitudinal strain(GLS)を術前、術後 3か月、術後1年、術後5年で比較検討した。【結果】 対象は8例。手術時年齢 中央値 8 (四分位範囲: 6─14)か月、術前パラメータは以下の通り;LVDD%N 125(122─177)%N, LVEF 52(38─60)%, E/e’ 12.0(10.8─12.8), GLS -11(-19─-8.0)%、MR軽度 2例、中等度6例。LVDD%Nは術後3か月 99(94─104) %N、術後1年 102(100─106) %N、術後5年 105(101─109) %Nと術後早期より正常化し、GLSは術後3か月 -17.5(-20.4─-16.5)%、術後1年 -19.8(-25.2─-15.8)%、術後5年 -20.5(-22.7─-19.6)%と緩徐な改善であった。一方、E/e’は術後3か月 14.7(13.4─15.9)、術後1年 15.1(12.6─16.2)、術後5年 12.3(11.9─15.5)と遠隔期も拡張障害は遷延した。術後5年で中等度以上のMRは2例であった。【結論】 ALCAPA術後の心筋リモデリングは、心室容量が術後早期に回復するものの、心収縮能は1年かけて緩徐に回復し、拡張障害は遠隔期においても残存した。