The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

川崎病

ポスター発表(III-P12-1)
川崎病3(評価・他疾患)

Sat. Jul 8, 2023 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院小児循環器病センター)

[III-P12-1-04] 川崎病5年目の最終フォローで診断された、無症候性の右冠動脈左冠動脈洞起始の一例

藪崎 将1, 増谷 聡1,2, 石戸 博隆2, 岩本 洋一2 (1.さいたま市民医療センター 小児科, 2.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

Keywords:川崎病, 冠動脈起始異常, 運動制限の必要性

【背景】冠動脈には様々な起始や走行の先天異常があり、突然死の原因となり得るが、学校心電図健診ではスクリーニングが困難である。心エコー診断も必ずしも容易でない。川崎病の最終フォローで無症候性の右冠動脈左冠動脈洞起始を診断した1例を報告する。【症例】1歳時に川崎病に罹患しIVIG投与、アスピリン内服で加療し、冠動脈後遺症を残さず軽快した。以降発症1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、1年、2年、2年6ヶ月、3年後の心エコーで明らかな異常所見は指摘されなかった。発症5年の最終フォローは安静覚醒下に施行できたが、検査開始直後、以前と同様に右冠動脈は右冠動脈から起始して見えた。しかし検査を進めるにつれ、右冠動脈が左冠尖から起始し、両大血管に挟まれスリット状に起始している所見が得られ、冠動脈CTでも同様で診断を確定した。トレッドミル負荷心電図で本人の限界まで運動負荷をかけたが、虚血性変化や不整を認めなかった。2016 年版学校心臓検診のガイドラインでは、“虚血ないし画像診断で冠血流障害を認めない場合は、外科治療適応は一般的に乏しく,運動制限の必要性は一定しない(E 可)”とされるが、方針を強く推奨する科学的根拠は乏しく、サッカークラブ継続の希望がある本児に運動制限を課すか、外科治療に向かうべきかについて、家族も含めて検討中である。【考察】冠動脈異常の診断は容易とはいえず、本症例は冠動脈異常の存在を認識して精査する重要性を示唆する。川崎病フォローで5年目は泣かずに臥位で心エコーが可能なことがほとんどであり、冠動脈は径だけでなく、虚心坦懐に起始部・走行についても観察・確認することが重要と思われる。無症候性例の管理指針の確立には、長期の追跡研究が必要と考えられた。