[III-P12-2-05] 右房内血流解析からみた先天性心疾患患者の血行動態評価
キーワード:右房内血流, 右房機能, 4D flow MRI
【背景】先天性心疾患の血行動態把握に心内圧や血流速度はかかせない項目であるが、血流形態にも注意が必要である。大血管の螺旋流や左房内うず血流については臨床的な意義を含め検討が多くなされているが、右房内血流に関する報告は少ないのが現状である。【目的】先天性心疾患患者の右房内血流形態を評価し、その変化が示すものを検討すること【方法】2022年1月から2022年12月に当院で心臓MRI検査を施行した者のうち、4D flow MRIで右房内血流が評価できた22名(5-36歳、患者19名、健常者3名)を対象にした。4D flow MRIはSiemens社製3 Teslaを用い、設定はVENC 150cm/s、フェーズ 30、ボクセルサイズ 2.0×2.0×2.0-2.5×2.5×2.5mm3、呼吸同期下で行った。右房内血流は右房を正面および右側面から見て評価した。【結果・考察】健常者3名(TR 0度)の右房内血流は時計方向の螺旋流を呈し、患者10名(CVP 3-11mmHg、TR 0-II度)も同様の血流形態を示した。拘束型心筋症(CVP 11mmHg、TR I度)とEbstein病(CVP 1mmHg、TR III度)の2名は螺旋流形成を認めなかった。総肺静脈還流異常術後(CVP 11mmHg、TR IV度)と右肺動脈欠損術後(CVP 1mmHg、TR 0度)の2名は下大静脈血流のみ螺旋流形成を認めた。心房中隔欠損4名(Qp/Qs 1.6-2.9)の右房内血流は、螺旋流は呈するものの上下大静脈は各々二方向の血流に分離し、残り1名(Qp/Qs 1.1)は健常者と同様の時計方向螺旋流を呈していた。螺旋流の消失は、既報の加齢による変化と同様であり、右心機能低下を示唆する可能性がある。【結論】右房内血流は時計方向の螺旋流が正常形態である。それ以外の血流形態では、右心系に何らかの異常が生じており、血行動態の変化に注意する必要がある。