第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

心筋疾患

ポスター発表(III-P12-4)
心筋疾患3

2023年7月8日(土) 14:00 〜 14:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:中島 公子(群馬県立小児医療センター循環器科)

[III-P12-4-05] 乳児期にエコーを契機に診断されたWolff-Parkinson-White(WPW) syndrome, Preexcitation induced cardiomyopathy (PIC)の2例

三井 さやか1, 福見 大地1, 安田 和志2, 芳本 潤3 (1.日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第一病院 小児循環器科, 2.あいち小児保健医療総合センター 循環器科, 3.静岡県立こども病院 循環器科)

キーワード:preexcitaton induced cardiomyopathy, Wolff-Parkinson-White syndrome, infant

【背景】Preexcitation induced cardiomyopathy (PIC)は房室結節右側の副伝導路(AP)を介した心室早期興奮により同期不全をきたし、中隔の瘤形成、局所の菲薄化からびまん性の壁運動低下まで呈する心筋症で、重症では拡張型心筋症(DCM)との鑑別を要する。エコーを機にPICと診断した乳児2例を報告する。【症例1】 2か月男児。品胎の第2子、在胎30週0日1601gで出生。入院中頻拍の指摘なし。退院前のスクリーニング心エコーで左室拡大(LVDd=30mm,150%N)、収縮不良(EF=35%)、僧帽弁閉鎖不全(MR)を認めた。CTR=0.57、BNP=215pg/ml。12誘導心電図でWPW症候群(前中隔のAP)と診断。PICを疑い強心剤及び利尿剤を開始してBNP=142まで低下したが、心収縮は改善しなかった。AVRTを発症し、心機能悪化を懸念し他院へ転院した。フレカイニド開始でΔ波の頻度は減少したがEF=40%で抗心不全治療も継続している。【症例2】10か月女児。発熱と嘔吐で近医を受診した際に心雑音に気付かれ、エコーにて左室拡大、MRを指摘され当院へ搬送。エコーでEF=50%、心基部中隔の膨隆、心室非同期を認めた。初診の12誘導心電図でAVRTを認めATPで停止するも再燃を繰り返し、鎮静下にフレカイニド静注し以降頻拍再燃はなかった。安静時心電図でWPW症候群(三尖弁前方のAP)と診断した。BNP=15.1、CTR=0.51。フレカイニド内服開始後もΔ波消失せず、心室非同期は改善なかった。他院でのアブレーション待機中である。【考察】症例1は、生後2か月の時点で既に心室壁の菲薄化、全周性の壁運動低下を認めており、症例2は生後10か月であったが、心収縮低下は軽度でいずれも頻拍誘発型心筋症ではなかった。PIC発症のメカニズムや重症化リスクは未知の部分が多い。乳児期の心拡大、心収縮低下、MRをみたときはDCM、BWG症候群、僧帽弁腱索断裂等だけでなく、PICを鑑別に挙げ12誘導心電図を評価すべきである。