[III-PPD4-02] 川崎病巨大冠静脈瘤の虚血評価ー心筋血流予備比検査(FFR)の視点から
Keywords:心筋虚血, 川崎病巨大冠動脈瘤, FFR
【背景】遠隔期における川崎病巨大冠動脈瘤(GAN)は、血栓・狭窄病変などその臨床像は多彩であり、虚血性心疾患のリスクになりうる。GANは血行動態的に狭窄性病変と同様に機能する疑いがあるが、成人における虚血評価のスタンダードであるFFRを用いた血行動態評価の報告はない。今回我々はGANとそれに伴う狭窄性病変の虚血の有無とFFRとの関係を検討した。【方法】1990年から2022年まで当院で心臓カテーテル検査を行い、FFR評価を行ったGAN患者について、後方視的研究をおこなった。LMT-LADのGAN症例を狭窄の有無で分類、また心筋虚血の有無をトレッドミル・シンチ・PER検査にて評価、GANに伴う狭窄の程度とFFRの関係を検討した。【結果】該当患者は49例、LAD閉塞などFFR非施行例(n=27)を除いた22例の検討を行った。年齢中央値は川崎病発症時が3歳6ケ月(生後6ケ月-9歳10ケ月)、検査時が11歳8か月(3歳2ケ月-32歳)であった。FFRは、GAN単独群(n=9)は0.93±0.035、GAN+狭窄群(n=13)で0.69±0.099であった(p<0.0001)。GAN単独群は全例FFR正常(FFR≧0.8)であったが、狭窄50%以上の症例は全例FFR<0.8と低下を認め、狭窄程度(%)とFFR値は強い相関関係を認めた(r=- 0.872, p<0.0001)。虚血陽性症例は、GAN単独例は0例、GAN+狭窄群で8例 (p=0.0055)であったが、FFR低値で虚血陰性症例は3例あった。【まとめ】GAN単独ではFFRの有意な低下はなく心筋虚血を認めないが、GAN+狭窄群では50%程度の軽度な狭窄病変でもFFRの低下を認めた。GANに伴う狭窄では形態的評価ばかりではなくFFRによる血行動態的評価が有用である。